承認のルール

第二次的ルールには大きく三つある。

承認のルール、

変更のルール、

裁判のルール。

このうち特に重要なのは、「承認のルール」である。ハートはこれを「究極のルール」とも呼んでいる。要するに、あるルールがルール(法)であるかどうか、しっかりと確認(相互承認)できるシステム——議会等の公的機関——が用意されていることが、現代の法の最も重要な本質であるというわけだ。※I):ハーバーマスは、ハートのいう「承認のルール」を、公的機関における「承認」に限定されすぎているとして批判している。ハーバーマスにいわせれば、「承認のルール」は、公的機関にのみ限定すべきものではなく、より広い「公共圏」において機能すべきものである(ハーバーマス『事実性と妥当性――法と民主的法治国家の討議理論にかんする研究(上)』第五章 (未來社、二〇〇二年))。これは、原理的にはハート理論を否定するものではないが、実践的には一定の妥当性を持った批判といえるだろう。

■参考文献
『法の概念』  ハーバート・ライオネル・ハート 原著一九六一年

『事実性と妥当性――法と民主的法治国家の討議理論にかんする研究(上)』    ユルゲン・ハーバーマス 原著一九九二年


★この記事はiCardbook、自由の相互承認 —— 人間社会を「希望」に紡ぐ —— (下)未来構築の実践理論』を構成している「知識カード」の一枚です。

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I. :ハーバーマスは、ハートのいう「承認のルール」を、公的機関における「承認」に限定されすぎているとして批判している。ハーバーマスにいわせれば、「承認のルール」は、公的機関にのみ限定すべきものではなく、より広い「公共圏」において機能すべきものである(ハーバーマス『事実性と妥当性――法と民主的法治国家の討議理論にかんする研究(上)』第五章 (未來社、二〇〇二年))。これは、原理的にはハート理論を否定するものではないが、実践的には一定の妥当性を持った批判といえるだろう。