集団規模の違いによるコミュニケーション

実は、現代でも人間はさまざまな規模の集団を作り、コミュニケーションを使い分けている。十~十五人はゴリラの集団規模で、仲間が深く感情移入できる共鳴集団である。スポーツのチームや陪審員、政府の諮問委員会がこの規模だ。最近まで家族もこの規模の集団だった。

三十~五十人は学校のクラスで、かろうじて分裂せずにまとまって行動できるから教育がしやすい。そして百五十人までの規模の集団は、名前ではなく、過去に協働した身体の記憶によってまとまっている。

いずれも集団のまとまりに言葉が不可欠というわけではない。


■参考文献
『家族進化論』第五章・第十二節 音楽から言語へ  山極寿一(東京大学出版会、二〇一二年)

★この記事はiCardbook、『人類の社会性の進化(Evolution of the Human Sociality)(下)共感社会と家族の過去、現在、未来』を構成している「知識カード」の一枚です。

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