暴力の拡大

ホセ・ゴメスたちの系統樹分析I):種内暴力によって死亡する割合は哺乳類全体では0.3パーセントだが、霊長類の共通祖先では2.3パーセントに増加する。これは、霊長類が集団を組んで暮らし始め、縄張りをもって集団間が対立するようになったせいだと考えられている。それが、類人猿との共通祖先では1.8パーセント、サピエンスの祖先も2.0パーセントと上がらず、三千年前の新石器時代になって1530パーセントに急上昇する。によると、おそらく狩猟採集時代までは小集団で土地を他集団と共有していたため、暴力は低いままに抑えられていた。それが農耕・牧畜によって人口が増え、土地への執着が高まるにつれて暴力が激化したのだと思われる。

■参考文献
『家族進化論』
第六章・第八節 暴力と共同体の拡大  山極寿一(東京大学出版会、二〇一二年)

 

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I. :種内暴力によって死亡する割合は哺乳類全体では0.3パーセントだが、霊長類の共通祖先では2.3パーセントに増加する。これは、霊長類が集団を組んで暮らし始め、縄張りをもって集団間が対立するようになったせいだと考えられている。それが、類人猿との共通祖先では1.8パーセント、サピエンスの祖先も2.0パーセントと上がらず、三千年前の新石器時代になって1530パーセントに急上昇する。