何を目的にイスラームを信じるのか

ムスリムがイスラームを信じる唯一最大の目的は、来世で自らが救われることである。イスラームでは、来世には天国と地獄があり、この世の終わりの最後の審判で自らの行き先が神様によって決められるとされている。天国に行くことができるように、ムスリムは神様と契約をし、その契約どおりに現世を生きるのである。*

参考文献:
イスラームとは何か―その宗教・社会・文化(講談社現代新書)』第2章:啓典と教義  小杉泰(講談社、1994年)
イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』  加藤博(詩想舎、2020年)

*「天にあり地にあるすべてのものはアッラーのものである。あなたがた自身のうちにあるものを現しても、また隠しても、アッラーはそれとあなたがたを清算しておられる」(『クルアーン』第2章第284節)、「アッラーは清算者として万全であられる」(『クルアーン』第33章第39節)
つまり、人間は神との一対一の契約によって存在し神は一人ひとりについて帳簿を持ち、この世で善行を行なったときには債権の、悪行を行なったときには債務の欄にその旨記載される。そして最後の審判のとき神はこの帳簿に基づいて清算をし、債権が債務を上回り黒字になった人間は天国へ、債務が債権を上回り赤字になった人間は地獄へ行くことになる。(『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」Vol.1』第3章第1節:森羅万象は唯一神アッラーの被造物 加藤博(詩想舎、2020年))[編集部]

 


★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(下) 金融資本主義からの脱却と「利他利己」の超克』を構成している「知識カード」の一枚です。



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