また、記憶は将来の事象を予測するためにも重要です。
動物は、危険から避けつつ、より効率的に報酬を得るために、その後の変化を常に予測しながら生活しています。生得的な生体応答を除き、こうした予測も、脳内の記憶に基づいて成立するものです(※I):例えば、先述のマウスを用いた恐怖条件付け試験では、電気刺激を経験後に再び実験箱に戻されたマウスは、もう一度電気刺激が来るだろうという予測をして、すくみ反応を起こします(図17)。このとき、まず実験箱という外部環境の情報がボトムアップに大脳皮質へと伝えられ、過去の連合記憶に基づいて、次にトップダウン方向へと情報が伝わり、身体でのすくみ反応という出力に繋がると考えられます。)。
■参考文献(本のタイトルをクリックしてアクティブラーニング)
『予想脳 Predicting Brains (岩波科学ライブラリー)』 藤井直敬(岩波書店、二〇〇五年)
『脳の計算機構―ボトムアップ・トップダウンのダイナミクス』 銅谷賢治・阪口豊・五味裕章・川人光男編(朝倉書店、二〇〇五年)
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註
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