コースの定理

二つの経済主体の間に外部不経済が存在する場合、交渉に要するコスト(取引費用※I):取引費用は、情報費用、契約費用、履行費用からなる。)がゼロであり、所得効果が発生しないことを仮定すれば、初期的な権利の配分は、二主体間の自発的な交渉によってもたらされる効率的な資源配分(パレート最適な資源配分)に影響しない。

このコースの定理に従えば、工場の大気汚染で健康被害が発生している場合、工場に汚染を発生させつつ操業を行う権利(汚染権)を与えても、被害者に汚染の影響を受けないで生活を営む権利(環境権)を与えても、実現する資源配分の内容は同じとなる。

■参考文献
『企業・市場・法』 洋書原著 pp1-44  ロナルド・H・コース 原著一九八八年

★この記事はiCardbook、『なぜ経済学は経済を救えないのか(上)視座と理念の転換』を構成している「知識カード」の一枚です。

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I. :取引費用は、情報費用、契約費用、履行費用からなる。