現在、世界各地でポスト資本主義を構想する様々な動きが出てきている。そうした動きの中には、例えば、シェアリングエコノミーやフィンテックなどイスラーム経済知と親和性を持つものも少なくない。また、資本主義の浸透によって周縁化した伝統的なしくみの中にも、イスラーム経済知と同じベクトルを向いた可能性を持つものも散見される。資本主義の危機を乗り越えるためには、こうした多様な経済知との協働が不可欠であり、イスラーム経済は知的触媒の1つとして有益なヒントを提供しうるのである。
参考文献:
『シェアリングエコノミー』 アルン・スンドララジャン 門脇弘典訳(日経BP社、2016年)
『持続可能な資本主義―100年後も生き残る会社の「八方よし」の経営哲学(ディスカヴァー携書)』 新井和宏(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2019年)
『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』第1章第2節:なぜ市場経済としてイスラーム経済を取り上げるのか/第7章第2節:なぜイスラーム経済は再び注目を集めるようになったのか 加藤博(詩想舎、2020年)
□関連知識カード:
イスラーム研究の現代史的意義
イスラーム経済の将来 その1
イスラーム経済の将来 その2
★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(下) 金融資本主義からの脱却と「利他利己」の超克』を構成している「知識カード」の一枚です。
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