イデオロギーとしての宗教

宗教や文化信念は、経済活動を含む人びとの行動や、社会の慣習に大きな影響をもたらす。それは、宗教や文化信念が社会のメンバーの間に、信用・信頼を背景にした、行動の結果についての期待が共有されるからである。このことを換言すれば、宗教や文化信念は人の行動や社会のあり方を規制するイデオロギーとして機能するということである。

フランスのイスラーム史家のマクシム・ロダンソンは、イデオロギーについて、次のように述べている。「ある時代、ある宗教に属する人々は、社会全体もそうだが、自分たちの作ったものではない、先在する教義に厳格に服従し、その掟をまもり、なに一つ本質的に変えることなくその精神を墨守するものであり、自分たちの生活条件やこの生活条件が暗黙のうちに作用する自分たちの思考形態に、教義を順応させようともしないものだ、ということが仮定されている」。(『イスラームと資本主義(特装版 岩波現代選書)』、18頁)

参考文献:
イスラームと資本主義(特装版 岩波現代選書)』  マクシム・ロダンソン(岩波書店、1978年)


 

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