群れに伝わったイモ洗い

一頭の若いメスが「開発」したイモ洗い行動は、時とともに他の個体へと伝わっていった。まず同世代の遊び仲間や血縁個体へ、そして(ヒトの文化の多くとは対照的に)若い世代からより上の世代へと広まった。

この「プレカルチュア」はサルどうしの教え合いによってではなく、おのおのが他個体を模倣して学習したと考えられる。


■参考文献
『ニホンザルの生態』
  河合雅雄(河出書房新社、一九六九年)

「行動の社会伝達―ニホンザルを具体例にして―」  田中伊知郎(『霊長類学を学ぶ人のために』所収 [一八四~二〇二ページ] 西田利貞・上原重男編(世界思想社、一九九九年))

関連知識カード:ニホンザルにみる「末子優位」の法則

★この記事はiCardbook、『人類の社会性の進化(Evolution of the Human Sociality)(上)「社会」の学としての霊長類学』を構成している「知識カード」の一枚です。

◎iCardbookの商品ラインナップはこちらをクリック