サブサンプション・アーキテクチャって何?

サブサンプション・アーキテクチャとは

サブサンプション・アーキテクチャとは、複雑な知的振る舞いを多数の単純な振る舞いモジュールに分割し、そのモジュールに階層構造を与え、上位の振る舞いが下位の振る舞いを制御する仕組みのことです。

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上位層が下位層をコントロールする

生物の知能にも階層構造があると考えられています。たとえば生物はまず「餌のにおいがある方へ直進する」。ところが「穴があれば迂回する」必要があります。同様のことを人工知能に実装するにはどうしたらよいでしょう。この時、最下層の「直進する」という行動を抑制して「迂回する」という行動を優先する、上位層が下位層をコントロールする権限が与えられていればよい、そういう概念を実現したのが「サブサンプション・アーキテクチャ」なのです。(サブサンプション構造 – iCardbook|知の旅人に https://society-zero.com/icard/235382

ロボット開発の歴史

ロボット開発の歴史の中で、サブサンプション・アーキテクチャは生まれました。それ以前のロボットは、センサから情報を読み取り、そこからロボットの周囲の環境を計算して、最適な行動を決定し、モーターを動かしていました。この方法では、たしかに正確に動くものの、動きや反応が遅いのが欠点でした。

サブサンプション・アーキテクチャの利点は、反応が早いことです。

ルンバ

お掃除ロボット、ルンバにもサブサンプション・アーキテクチャが実装されています。そのおかげでルンバは「ぶつかったら避ける」という動きを見せます。それも素早く。

これに対しサブサンプション・アーキテクチャ以前の従来型ロボットは、「ぶつからないよう」作られていました。まず周囲の部屋の様子を確認しあらかじめ障害物を把握して動こうと考えました。そのためにはセンサを使って空間をすべてサーチし、バーチャル地図を作ったうえで、その中で障害物等を考慮に入れつつ、身体を制御するという、演算量が途方もない、高度なシステムが指向され開発されていたのでした。
 

生物の知能を模倣して作るゲームキャラクターの人工知能においても、サブサンプション・ストラクチャ概念がこの模倣を担当することになります。その際、哲学者ベルクソンが『 物質と記憶 』で展開した議論や、生物が持つ内的時間の概念が参照されるべきでしょう。

 


ベルクソンの哲学とサブサンプション・アーキテクチャ。それぞれを解説した参考文献(書籍)を紹介します。

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■参考文献(書籍)リスト

(参考文献のもっと詳しい内容は、書籍タイトルをクリック。関連知識カードもクリックするとコンテキスト(文脈)がわかりとても便利。)

30秒で学ぶ哲学思想
 ◎関連知識カード
 ・テセウスの船
ゾウの時間 ネズミの時間
 ◎関連知識カード
 ・生物の内的時間

ブルックスの知能ロボット論
 ◎関連知識カード
 ・サブサンプション構造
ロボットインテリジェンス
 ◎関連知識カード
 ・反射という知能

ロボットという思想
 ◎関連知識カード
 ・反射という知能
困ります、ファインマンさん
 ◎関連知識カード
 ・テセウスの船と人体

人工知能のための哲学塾
 ◎関連知識カード
 ・物質と情報
 ・人工知能にもふたつの視座が必要
 ・知能は生物内部の時間を生きる
人工知能の作り方
 ◎関連知識カード
 ・キャラクターの行動

物質と記憶
 ◎関連知識カード
 ・生物の内的時間
 ・身体のイマージュ
来たるべき内部観測
 ◎関連知識カード
 ・記憶と自由意思


 

 

◎これは『人工知能と人工知性(三宅陽一郎)』の「第五章 知能の構造性を解き明かす」の参考文献(書籍)をリスト化したものです。


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