シナプス伝達の加算は多数決投票に類似している

一つの神経細胞において、このような情報の加算、統合が行われるという性質は、多数決投票に類似しています(動画3)。

例えると、一つの案件の賛否(次の神経細胞の活動)を決定するために、一万人の有権者(一万個の神経細胞)が、次々に投票を行い(シナプス電位を誘発し)、その総数が一定数を超えれば(加算の結果が閾値に到達すれば)、賛成の決定がなされる(活動が発生して次の細胞へ情報が伝わる)ということになります。

脳の最小単位である神経細胞の性質と、私たちの現代社会の仕組みが類似していることは興味深い点です。

 

動画3:活動電位の発生には複数のシナプスの加算が必要である


■参考文献(本のタイトルをクリックしてアクティブラーニング)

『神経とシナプスの科学 現代脳研究の源流 (ブルーバックス)』  杉晴夫(講談社、二〇一五年)

『ニューロンの生物物理 第二版』  宮川博義・井上雅司(丸善出版、二〇一三年)


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