サルは模倣が苦手

しかし、このニホンザルのイモ洗い行動が、観察学習によって獲得されたのか、試行錯誤による個体学習によるのかが議論となった。

イタリアのヴィサルベルギは、ローマの動物園に人工的な砂浜を作ってニホンザルを放すと、やがて自発的にイモ洗い行動が発現することに注目した。幸島の場合も、群れ全体にこの行動が広がるまで4年もかかっている。

サルは仲間の行動をコピーするのではなく、目的を理解して(目的模倣)個体学習をすると考えられる。猿真似は、実は人間だけに可能な能力なのである。


■参考文献
『霊長類学を学ぶ人のために』  西田利貞・上原重男編(世界思想社、一九九九年))

★この記事はiCardbook、『人類の社会性の進化(Evolution of the Human Sociality)(下)共感社会と家族の過去、現在、未来』を構成している「知識カード」の一枚です。

◎iCardbookの商品ラインナップはこちらをクリック