環境価値の貨幣評価の限界

環境価値の貨幣評価には、つぎの二つの限界がある。

第一に、価格データを加工する場合のデータ制約である。そもそも市場で十分に値付けされない対象を評価するのであるから十分な価格データが得られないのは当然である。とくに、環境が存在すること自体の価値については、価格データが得られない。

第二に、アンケート調査の限界である。アンケートの回答者が評価対象となる環境についての十分な知識を持っていない場合がある。また、アンケートを行うこと自体が、アンケート結果に影響を及ぼす可能性もある。

■参考文献
『環境を守るほど経済は発展する』 第三章・第四節 主流派の経済学と環境問題  倉阪 秀史 二〇〇二年
「環境と経済に関する理論的フレームワークと政策適用について」  倉阪 秀史 『千葉大学公共研究』第三巻第四号 二〇〇七年三月[編集部]


★この記事はiCardbook、『なぜ経済学は経済を救えないのか(上)視座と理念の転換』を構成している「知識カード」の一枚です。

アイカードブック(iCardbook)