タウヒード

原義は「一にすること(一化)」。転じて、この世の森羅万象の最終理由を絶対無二である神の存在に帰する、神の唯一性を主張するイスラームの世界観を意味する。

つまりシルク(神が複数あると信じること)を偶像崇拝として排し、この世にあるすべての存在(人間、動物、植物、鉱物)は唯一神アッラーの創造によるものであり、神の前では、その価値はすべて等しく、それと同時に万物はすべて異なり一つとして同じものはないとされる。

しかも個人は単独で存在できず他者との密接な関係性の中に存在している。この世界観から、キリスト教ヨーロッパの聖俗二元論とは異なる、聖俗一元論に立つイスラームの知の体系が創り出された。

参考文献:
イスラーム再構築の思想』  A・シャリーアティ (大村書店、1997年)
新装版 イスラム:思想と歴史』  中村廣治郎(東京大学出版会、2012年)
増補新版 イスラームの構造 タウヒード・シャリーア・ウンマ』  黒田寿郎(書肆心水、2016年)

 

■関連知識カード/章説明他:
イスラームは聖俗一元論
神との一対一の契約
タウヒードの社会観 1:個・部分と集団・全体
タウヒードの社会観 2:宗教権威と政治権力


★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.3 基本概念・基礎用語編』を構成している「知識カード」の一枚です。


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