我々の体にも似たことがあります。人体(船)を構成している細胞(部品)のレベルで毎日分子は入れ替わっている。アメリカの物理学者ファインマン氏はこれを「原子のダンス」といいました。※I):「脳の中の原子は絶えず入れ換わっていくもので、前にあった原子はなくなってしまうのだということです。ではいったい私たちの心、すなわちこの意識をもった原子とはいったい何なのかっそれは先週食べた食物の原子なのです。そして驚くべきことに、この原子どもはもうとっくに入れ換わってしまっているというのに、一年前に私の頭の中で起こっていたことをちゃんと思いだせるのです。」(引用:R.P. ファインマン 『困ります、ファインマンさん』 岩波現代文庫 二〇〇一年)
知能の根拠を身体にのみ還元することはできない。そこには常に情報的な側面、構造的な側面があり、それが精神であり、知能となる。つまり、知能は身体的側面と情報的側面の双方を常に併せ持ち、それが知能を解き明かすための困難な問題を提示してくるのです。
■参考文献
『困ります、ファインマンさん』 R.P. ファインマン 原著一九八八年
「進化と知能」 A.I.FM講演 、三宅陽一郎、二〇一三年
★この記事はiCardbook、『<人工知能>と<人工知性>: —— 環境、身体、知能の関係から解き明かすAI—— 』を構成している「知識カード」の一枚です。
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註
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