ここまで見てきた神経回路の情報伝達の原理は、ほぼすべての脳領域に共通しています(図5)。脳の領域ごとに違いがあるのは、神経細胞どうしの繋がる確率(結合密度)や、シナプス電位の大きさの分布などです。
例えば、結合密度が高く、全体のシナプス電位が小さいような脳領域もあれば、逆に、結合密度が低く、全体のシナプス電位が大きいような脳領域もあります。前者の場合、情報処理における神経細胞ひとつひとつの活動の比重は低くなりますが、神経回路全体として情報処理の多様性を増やすことには役立ちます。後者の場合は、逆の特性となります。
■参考文献(本のタイトルをクリックしてアクティブラーニング)
『進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 (ブルーバックス)』 池谷裕二(講談社、二〇〇七年)
『単純な脳、複雑な「私」 (ブルーバックス)』 池谷裕二(講談社、二〇一三年)
『脳の計算機構―ボトムアップ・トップダウンのダイナミクス』 銅谷賢治・阪口豊・五味裕章・川人光男編(朝倉書店、二〇〇五年)
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