さらに最近では、記憶痕跡と想定される神経細胞集団の活動を選択的に光操作できる実験法が開発され、より直接的に記憶痕跡の意義が検証できるようになりました(図10)。
この方法では、記憶獲得時に活動した神経細胞集団のみに光感受性タンパク質のチャネルロドプシン2を発現させます。その後、これらの細胞集団に光を照射すると、このタンパク質を発現した細胞集団のみを選択的に活動させることができます。上述の行動実験パラダイムでは、この光刺照射行うと実際にすくみ反応が観察されます。つまり、人工的な光刺激によって、記憶痕跡の想起が誘発されると考えられます(図17)。
■参考文献(本のタイトルをクリックしてアクティブラーニング)
『記憶力を強くする―最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方 (ブルーバックス)』 池谷裕二(講談社、二〇〇一年)
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