奉仕する心と家族

 

 

体に障害を持っていた人が長い間生きながらえた最古の証拠は、百八十万年前のホモ・エレクトスから見つかっており、ネアンデルタール人でも介護がなければ生き残れなかった重い障害を持った人骨が出土する。家族に由来するであろう、奉仕する心の存在なしにこのようなことは起きなかっただろう。

食物の分配と共同保育によって高めた共感能力と協働能力は、自分の危険を顧みずに集団に奉仕するような精神へと発展し、それが新しい土地へと人類を送り出すI):この頃、人類はしだいに大型の獲物を集団で狩るようになり、集団で危険に立ち向かうことが増えていったと考えられる。そして、人類の祖先はしだいにアフリカ大陸を出て、それまでに経験したことのない冷涼な土地へと足を伸ばすことになる。力になったのだろうと考えられる。


(第2回 山極壽一(霊長類学):サル、ゴリラ研究から現代社会を考える(提言編) | ナショナルジオグラフィック日本版サイト https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/web/18/071000013/091800004/?P=2)


■参考文献
『家族進化論』第五章・第十二節 音楽から言語へ  山極寿一(東京大学出版会、二〇一二年)

『共感の時代へ——動物行動学が教えてくれること』  フランス・ドゥ・ヴァール 柴田裕之訳(紀伊国屋書店、二〇一〇年)原著二〇〇九年

 

 


『人類の社会性の進化(下)共感社会と家族の過去、現在、未来
(山極寿一・本郷峻)』

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I. :この頃、人類はしだいに大型の獲物を集団で狩るようになり、集団で危険に立ち向かうことが増えていったと考えられる。そして、人類の祖先はしだいにアフリカ大陸を出て、それまでに経験したことのない冷涼な土地へと足を伸ばすことになる。