近代資本主義経済の形成

先のように定義されたリバー(剰余のリバーと期限のリバー)を文字通りに禁止すれば、取引での等価性は期待されるであろうが、そうなれば商売そのものが成り立たなくなる。不等価性を前提にした交換から得られる利得なしには、商売は成り立ちえないからである。*

ところが、コーランには、「アッラーは商売をお許しになった、だが利息取りは禁じ給うた」という文言がみられる。ここで禁止されている利息がリバーであり、商売における利息、つまりリバーは禁止されている。しかし、商売は許されている。

参考文献:
イスラム経済論―イスラムの経済倫理』 第一部第9章:イスラム金融の文明史的意味  加藤博(書籍工房早山、2010年)

* 例えば書籍。書店が読者に販売する本体価格(あるいは税込み総額表示価格)と同じ価格で出版社から(厳密には中継ぎをする取次会社から)仕入れ(等価性)ていたのでは、書籍を売っても売っても書店は人件費などを捻出できない。人件費を捻出し、さらに次の事業展開のための「儲け」を稼ぐには仕入れ価格が本体価格より安くなければならない(不等価性)。[編集部]


 

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