昼の世界がサルを変えた

中・大型の昼行性果実食者へと進化した霊長類は、さらに様々な特徴を獲得する。

森の中で果実をうまく見つけるために両眼による立体視と色覚を進化させ、他の個体から食物を守るため群れをつくった。そして体の大型化によって地上性と群れの大型化が起こった。I):霊長類は体を大きくしたが目立ってしまうことから、捕食者を回避するため群れを作って暮らすようになった。しかし今度は、果実や昆虫だけでは食物が足りなくなった。果実には季節性があり、昆虫は食物としては小さいからだ。そこで熱帯雨林で常時得られる「葉」を食べるようになる。だが常緑樹の葉は植物繊維で硬く作られている。そこで霊長類は歯冠を高く鋭くし、硬い歯を破砕しやすく、また消化器官にバクテリアを共生させ、繊維を分解するようになった。[編集部]

私たち現代人の様々な特徴も、太古の樹上生活の名残りなのである。


■参考文献
『人類進化論―霊長類学からの展開——』第二章・第三節 類人猿の食と社会  山極寿一(裳華房、二〇〇八年)

『サル学なんでも小事典―ヒトとは何かを知るために』  霊長類研究所編(講談社、一九九二年)

『新・霊長類学のすすめ』 京都大学霊長類研究所編(丸善出版、二〇一二年)

 

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I. :霊長類は体を大きくしたが目立ってしまうことから、捕食者を回避するため群れを作って暮らすようになった。しかし今度は、果実や昆虫だけでは食物が足りなくなった。果実には季節性があり、昆虫は食物としては小さいからだ。そこで熱帯雨林で常時得られる「葉」を食べるようになる。だが常緑樹の葉は植物繊維で硬く作られている。そこで霊長類は歯冠を高く鋭くし、硬い歯を破砕しやすく、また消化器官にバクテリアを共生させ、繊維を分解するようになった。[編集部]