ゴリラの父性行動とインセスト回避

ゴリラのオスは生まれたばかりの新生児には興味を示さない。しかし、一歳を過ぎてお乳以外の物を口に入れ始めると、母親が赤ん坊をオスに預け始める。そして、三歳を過ぎて離乳すると子どもは母親から離れてオスについて歩くようになる。

オスと子供の密接な関係は思春期まで続き、娘のゴリラは性成熟に達するとこの養育者のオスを避けるようになって自群を離れ、他の群れやヒトリゴリラへ身を寄せるようになる。

つまり、オスの子育てが娘の離脱と嫁入りを促進する結果となっているのである。


■参考文献
『霧のなかのゴリラ——マウンテンゴリラとの13年』  ダイアン・フォッシー 羽田節子・山下恵子訳(早川書房、一九八六年) 原著一九八三年

『ゴリラとヒトの間』第七章 メスたちの選択  山極寿一 (講談社現代新書、一九九三年)

★この記事はiCardbook、『人類の社会性の進化(Evolution of the Human Sociality)(下)共感社会と家族の過去、現在、未来』を構成している「知識カード」の一枚です。

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