■もはや「夜の街」ではない 東京から全国へがコロナの課題

舞台クラスターか

7月10日はイベントの開催制限について、政府方針で参加人数の上限を5000人に緩和する「ステップ3」へ移行する日だった。


●きょうから観客 最大5000人 プロ野球とJリーグ 新型コロナ | NHKニュース https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200710/k10012507251000.html
「プロ野球とサッカーJリーグは10日から観客を最大で5000人まで入れて試合を開催します。各球団やクラブは感染対策を徹底するため、新たに設けたルールを守るよう観客に呼びかけています」。

●「ステップ3」10日から イベント上限5000人に緩和 コロナ新分科会初会合 - 毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20200706/k00/00m/040/199000c
新型コロナウイルス感染症対策分科会」の初会合が6日、開かれた。イベントの開催制限について10日から、参加人数の上限を5000人に緩和する政府案が了承された」。


ところがその7月10日の東京のコロナ感染者数は、243人と過去最多の規模の数字となった。しかもその中に、演劇関連、「舞台クラスター」があることが判明。5000人に緩和する政府施策の「ステップ3」が、ここから2週間程度先にどういう感染者数の数値となってあらわれるか、懸念さるところとなった。

 

「Super Break Dawn」のTAKUYAが、劇団EXILEの八木将康が

7月6日に体調不良を訴えていた、ダンスボーカルグループ「Super Break Dawn」のTAKUYA氏は7日に陽性反応が判明。そのヴォーカリストから『THE★JINRO-イケメン人狼アイドルは誰だ!!-』の舞台俳優とスタッフへ、さらに(栃木からの)観客へと感染が広がり、舞台がいわゆるクラスター例となった。


(・Super Break Dawn | SBD(スーパーブレイクダーン) Official Site http://superbreakdawn.jp/

主催者側はもちろん、業界がさだめたガイドラインを遵守していた、のに、である。(※追記)
(・舞台芸術公演における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン http://jpasn.net/stage_guideline0630a.pdf

しかし実は家庭から舞台人へというルートもある。「クラスター」というなら、東京都そのものが「クラスター」もどきの場となっているかもしれない。

劇団EXILEの八木将康氏は5日夜に、同居する家族の新型コロナウイルス感染が判明したため、それ以降、活動を自粛。翌6日に検査を受けた結果、8日に感染が確認された。
(●劇団EXILE八木将康コロナ感染 LDH所属で初 https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202007090000580.html

音楽関連のエンターテインメントについては、サザンの、むしろコロナ禍を逆手に取った無観客での成功事例がある。もちろん演劇人も頭をひねっている。三谷幸喜氏の、脚本・演出をsocial distancing を意識したものに修正しての公演事もある。(追記:その後、星野源さんも 下記URLご参照)

しかしこれらは例外ケースだろう。

事態の深刻さは陽性率に出ている。「感染者数が増えたのは(クラスターを起点とした)検査数が増えたから」が間違いなのは、陽性率の推移を見れば明らかで、検査数増大とともに陽性率が上昇している実態から、目をそらしてはならない。

(東京で最多更新243人感染 1都3県で300人超 https://www.tokyo-np.co.jp/article/41581

考えないといけないのはいずれにせよ、「夜」や「舞台」といった個別の「集団」だけでなく、家庭、職場が感染経路となってきている点。加え経路不明も増えていること。東京の感染状況こそが「ステップ3」にはいったと判断したほうがよいのではないか。

(都内の新規感染者243人、2日連続で最多更新…神奈川でも宣言解除後で最多32人 https://www.yomiuri.co.jp/national/20200710-OYT1T50218/)

いまや東京という空間が、コロナの揺籃器となりつつあり、いまのまま手をこまねていると、7月22日から始まる政府の「「Go Toキャンペーン」は、「コロナGOキャンペーン」になりかねない。[※追記2]
(●「Go Toキャンペーン」観光分野 今月22日から 赤羽国土交通相 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200710/k10012507851000.html


[追記2]

観客と出演者、スタッフの全850人が濃厚接触者。そこから他の舞台で共演した俳優も次々と自宅待機、すると他の舞台そのものが延期、中止に。
・モリエール感染の拡大

(新宿“舞台クラスター”波紋広がる JINRO観劇俳優の舞台開幕当日に中止 陽性俳優の共演者は自宅待機 https://news.livedoor.com/article/detail/18574567/

●全国で333人感染 地方、大都市で感染可能性の事例も  https://www.asahi.com/topics/word/%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9.html
東京の感染増大が首都圏他3県(モリエール観劇含む)へ、他地域へ。

大阪府で20人、京都府で12人、兵庫県で9人が判明した。愛知県ではモリエール観劇者含め新たに5人の感染。岐阜県では愛知に行った人含め男女3人の感染。広島市では大坂に行った男性が。島根の女子学生もモリエール関連。


 

そうなってしまってからでは、劇団などの舞台芸術全体が存亡の危機に陥る。


・苦境に立つ劇団四季

●劇団四季が、活動継続のためのクラウドファンディング開始!8,000万円突破!1億円を目指す:時事ドットコム https://www.jiji.com/jc/article?k=000000022.000030743&g=prt
「演劇だけで生計を立てる」ことを活動の根幹のひとつに据えてきただけに「ガイドライン」を取入れ、客同士の間隔を十分にとることを念頭にいれると、公演はできても、収支は黒字に保てない。劇団の存続の危機に、リターンが不要な方向けの「応援コース」のあるクラウドファンディングに踏み切った。


 

軽症者を増やせば、重症者の発生につながるのだから、「感染数減少こそ大事」。そのためには、「効果的なワクチンがない場合は、感染症を減らす方法は『感染経路の遮断』ただひとつ」。

「経済活動を止めよ、とは主張していません。が、今より強固な感染対策は必要です。そして感染対策をしっかりしないと経済活動止める以外の選択肢がなくなりますよ」
「差し当たり今関東旅行は避けた方がいいし東京の方は外旅行は行かない方がいいと思います。本当に」(岩田健太郎)
(・東京は2日連続「200人超え」、なのに「Go Toキャンペーン」? 「新たな摩擦」心配の声も https://news.biglobe.ne.jp/domestic/0710/jc_200710_8986025513.html

 


■関連URL

●東京都民のための【新型コロナ|5つの指標】 | ちえのたね|詩想舎 https://society-zero.com/chienotane/archives/8773
◎感染状況を判断する
1.現在感染者数(の推移)
2.重症者数(の推移)

◎医療体制を判断する
3.専用(対策)病床の稼働状況
4.軽症者用の宿泊等施設運用状況

◎どこが重感染地域か
5.市区別人口当たり感染者数

 

●山本裕典さんが新型コロナ感染。出演した舞台で出演者・観客ら14人が陽性 https://news.yahoo.co.jp/articles/53d81f05ffefca101dcca0ab12ec0d830eabc08b
7月4日昼夜2公演の観客と、6月30日昼公演の観客から、それぞれ陽性反応が確認された。
公演中は、劇場入口でのサーモグラフィーによる検温や手指消毒、座席の間隔を開けたり最前列の観客にフェイスシールドを配るなどの感染防止対策をとっていた。

[※追記]●有村昆と榊原徹士の新型コロナ感染が判明
https://bit.ly/3041LRH
業界制定の「ガイドライン」に沿ったコロナ対策を講じていた(席数を半分に、換気)ものの、初日から日を追うごとに席の間が狭くなって行ったり、体調不良者がいる中強行した、出待ちファンと握手などの、杜撰な管理状況でもあったらしい。

 

●新型コロナ・栃木県89例目、出演者・陽性ー新宿の舞台を観劇 https://tochi2.com/2020/07/covid19-89th-infection-in-tochigi-pref/
栃木からの観客が感染。

 

●大地 | PARCO STAGE -パルコステージ- - Parco劇場 https://stage.parco.jp/program/daichi/
タイトルも『大地(Social Distancing Version)』。
social distancing を意識した内容に脚本を変更しての舞台。コロナ対策もばっちり。劇場に入る前の検温、手と靴の消毒、トイレにも靴の消毒液が置いてあるほど。

本「作は東欧の架空の国を舞台にした群像劇。コロナ禍の現状と劇中の映画や舞台を取り締まる設定が重なる。三谷氏が「舞台俳優は演劇に携わることができず、演劇関係者も苦労している。同じような設定です。本を書いたのは去年ですが、何という先見の明。我ながら驚いています」と話していたように、作品内容と現状の重なるところが多い。」

●サザンの有料配信ライブ ウィズコロナのモデルに https://r.nikkei.com/article/DGXMZO60827930W0A620C2BC8000
有料配信しっかりコスト回収の目処もつけ、かつ加えて、無観客状況から新しい演出効果を引き出した。お見事、さすがサザン。

この日のチケットは3600円。ちなみにサザンの2019年のライブチケットは9500円だった。チケット購入者は約18万人。(横浜アリーナの収容人数(キャパ)約17000人)

会場には40台ものカメラが配置され、普段なら観客がいる場所からも撮影している。客席内には各種の照明やミラーボールも設置されていて、大会場なのに観客を入れられないという致命的な制約を逆手に取った舞台装置から、次々と創造的な演出が飛び出した。
例えば、90年に大ヒットした「真夏の果実」では無人の客席の一つ一つに置かれたリストバンド型のライトが無数の美しい光を放ち、「東京VICTORY」では客席の中央に五輪の聖火台のセットが現れた。

 

●星野源「配信だとみんなに言える」10周年記念ライブで届けた感謝 https://news.livedoor.com/article/detail/18563162/
サザン同様、無観客ならではの状況を逆手にとった特別演出効果が特徴:「みんなステージでやると思っていただろうけど、(通常の)ライブの代わり、ではなく、配信ライブだからできることを近い距離でやりたかった」と趣旨を説明。カメラ位置なども含め、視聴者が普段見ることのできない角度、距離で見ることができるライブに多くの視聴者がSNSで反応していた。

渋谷クアトロでの開催は会場のキャパシティ(750名)の100倍以上となる、約10万枚のチケットが販売された。