国と東京都が「宣言」でもめた 今後どうなるのか 新型コロナ

日本の備えに不安しか募らない理由」を上昌広氏(医療ガバナンス研究所理事長)が語ったのは、今から三ヶ月前、1月24日のことだった。4月10日、氏の懸念はまさに現実のものになろうとしている。


(「新型肺炎」日本の備えに不安しか募らない理由 | コロナウイルスの恐怖 |  https://toyokeizai.net/articles/-/326434

2020年4月7日政府は特措法に基づく「緊急事態宣言」を発出した。やれやれ、ようやく日本の「新型肺炎」への本格的対処が実現されるかと思われた矢先、権原を委譲された東京都と国が対処の方針、また細目について反目しあっている。4月10日、やっと東京都と国の調整の結果が発表されたが、忖度のあげくなった「調整」は、新型コロナへの備えとして果たして十全なものだろうか。

二週間待って結果をみてから」という基本方針である国は、新型コロナに対し腰が定まらない。その国に忖度した東京都の感染症対応法が十全かは、たいぶ怪しい。
(国家としての責任も気概も感じない https://president.jp/articles/-/34403?page=4

 

ウイルスは忖度してくれない。

むしろ忖度でできた欺瞞空間を利用して、したたかに増殖するのがウイルスだ。忖度ワールドを嘲笑いながら。

9年前の原子炉メルトダウン時、首相は理系人材で、少なくとも事態のマグニチュードを理解していた。

こたびの首都圏のメルトダウンについてはしかし、首相が事態のマグニチュードを体感的に理解できていないのが、21世紀第一四半期の日本国の悲劇だ。

「緊急事態宣言」を発出しても国の腰が定まらないので、国民はまだまだ他人事だ。世界の中でコロナのために、自分の人権を犠牲にすることへの抵抗感が、もっとも強いのが日本だ(「コロナウイルスに関する国際世論調査」)。

・「ウイルスの拡散防止に役立つならば、自分の人権をある程度犠牲にしてもかまわない」という意見について、
「そう思う(計)」人の割合は、30か国の平均では75%、日本では32%。他国に比べ異様に低い。

・そして、30か国の平均では「そう思う(計)」が「そう思わない(計)」を57ポイント上回るが、日本では「そう思わない(計)」が「そう思う(計)」 を16ポイント上回る。



(「コロナウイルスに関する国際世論調査」30か国グローバル調査  https://bit.ly/3bXiIBQ

これは国が信用されていなからだ。

・「自国の政府はコロナウイルスにうまく対処していると思う」という意見について、 「そう思う(計)」人の割合は、 29か国の平均では61%、日本では23%

・29か国の平均では「そう思う(計)」が「そう思わない(計)」を28ポイント上回るが、日本では「そう思わない(計)」が「そう思う (計)」 を39ポイント上回る。



(「コロナウイルスに関する国際世論調査」30か国グローバル調査  https://bit.ly/3bXiIBQ

 

今後どうなるか

4月14日火曜日には東京都だけで感染者数が千人を超える。たぶん。[※追記1,2、3]

ここでようやく、感染症法33条での手段でしか、事態打開の可能性は無いことが意識され始める(せめて、そうであって欲しい)。感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)第33条なら、たとえば都道府県知事の権限で72時間の交通規制ができる。


感染症法33条とは  https://society-zero.com/chienotane/archives/9005


問題は意識され議論されても、そこから、それが具体化されるまでの時間がいかほどか。

日本での被害の規模がそのスピードで決まることになるのだろう。

私たちは新国立競技場に敷設される夥しい医療用テント群、あるいは臨時ベッドの列を目にすることになるだろうか。

(新型肺炎軽症患者向けの臨時医療施設を設置、武漢市  https://www.afpbb.com/articles/-/3266753

そして再び、自衛隊の医療の力こそが最後の希望となるだろう。3.11の時がそうであったように。医療崩壊をしてしまった首都圏に他県から、他国から援助などこないのが、感染症がパンデミックとなってしまった過酷な現実なのだから。

すでにニューヨークを東京は追いかけ始めている。


(コロナ爆発的感染、東京は1ヵ月以内にNYのようになる 厚労省「否定できない」 https://blogos.com/article/447836/



追記3(4月15日)
4月15日になり、「東京都だけで感染者数が千人を超える」と同等の、政府と人々に発想と行動の変更を促す出来事が起きました。ふたつです。
ひとつは厚生労働省クラスター対策班の西浦博・北海道大教授が15日公表した試算(何も対策を取らない場合、重篤患者は85万人。そのうち約40万人が死亡する)です。
・「対策何もしないと重篤患者85万人」北大教授試算 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200415-00000033-mai-soci

もうひとつは元プロ野球選手の感染、その病状の公開でした。
・元阪神・片岡篤史さん感染公表 「予防を」病床から呼びかけ

・片岡チャンネル

感染症法33条での手段でしか、事態打開の可能性は無いことが意識され始めることを願うこと切です。

 


●感染症法33条とは https://society-zero.com/chienotane/archives/9005


 

追記2(4月13日):4月12日の都内新規感染者は166人で、一旦上昇傾向に歯止めがかかったかに見えます。が、「減ったのは土日だからではなく、この検査(中野江古田病院のメガクラスター化)が優先されたため」と、東京都議会議員の尾島紘平(練馬区)氏が伝えています。
つまり中野江古田病院事案による、医療崩壊と検査業務遅滞の同時発生。局所の処理に追われ、全体を把握するデータ収取が追い付かない、東京都はきわめて危険な段階にあると言えます。
・中野江古田病院“外来停止指示”翌日も診療 https://www.ybs.jp/tv/wnews/news162152882.html

追記1(4月12日):すでに3月下旬あたりから「医療崩壊」は始まっていて、検査業務ができない状況が生まれているようです。検査業務が行われないと感染者「数」も、コロナによる死者「数」も、もはや現在進行形で現況を表現することができません。

当面、発表される数値は千人を超えないかもしれません。しかし「東京都だけで感染者数が千人を超える」は、水面下、目に見えないところですでに起きている事象かもしれません。

・コロナ疑い続々、救急医療は悲鳴 「急患の命救えない」 [新型コロナウイルス][緊急事態宣言]:朝日新聞デジタル https://digital.asahi.com/articles/ASN4C74GMN4CULBJ00C.html

・救急医療「崩壊すでに実感」、受け入れ困難 2学会声明 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASN4B61NNN4BULBJ00W.html

・新型コロナで緊急事態の最中に情報開示を減らそうとする官邸https://news.yahoo.co.jp/byline/tateiwayoichiro/20200412-00172753/

・コロナ対策より、批判封じに血道をあげる安倍政権 標的は『羽鳥慎一モーニングショー』|LITERA/リテラ https://lite-ra.com/2020/04/post-5363_2.html