●男性優位社会と国家の貧窮化

2019年12月17日、男女格差の大きさを国別に比較した世界経済フォーラム(WEF)による、「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」の2019年版が発表されました。これが先進国だろうか、という日本社会への評価になっていました。

そしてその翌日、TV、新聞を賑わしたのが、ジャーナリストの伊藤詩織氏が元TBSワシントン支局長の山口敬之氏から性的暴行を受けたとして起こした民事訴訟での「勝訴」の報道。

海外メディアからはこれを機に、日本社会に対する厳しい言説を展開。たとえばアメリカのワシントン・ポスト紙は「今回の裁判を通じて、(日本という国が抱える:筆者註)性犯罪に関する時代遅れの法律、男性優位で保守的な国家体制、性被害を主張する女性への障害が明らかになった」と報じています。

日本では今、20世紀、戦後を経済大国へ押し上げた様々な要因が、21世紀になって今度は逆に、成長への足かせとなり、社会問題が噴出しています。男女間の不平等もそのひとつ。しかしそれだけではなく、戦後日本社会の慣行のイナーシャが、構造改革を押しとどめる状況が常態化、識者の中には、貧乏国家化を憂える声も高まっています。

そもそもホモサピエンスが「共同保育で共感能力を養い、社会性を高めていった」ことに思いをはせることが、ますます必要になってきているといえるでしょう。

●おばあちゃん仮説とイクメン理論 | ちえのたね|詩想舎 https://society-zero.com/chienotane/archives/8412
「人間は「種」の誕生以来、イクメンが当たり前の姿だったのです。共同保育には当然男性も加わっていました。(中略)
そして共同保育で人間は共感能力を養い、社会性を高めていったと考えられています。」

●男女平等ランキング、日本は過去最低に 中国、韓国、UAEより下:日経ビジネス電子版 https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/121700969/
121位の日本は、106位の中国よりも順位が低く、108位の韓国(前年は115位)に抜かれた。ランキングでは中東やアフリカの国々が下位に並ぶ中、日本は120位のアラブ首長国連邦(UAE)も下回った。

https://article.auone.jp/detail/1/4/8/12_8_r_20191217_1576575931804918

★Global Gender Gap Report 2020 |2019年の「ジェンダー・ギャップ指数」
http://www3.weforum.org/docs/WEF_GGGR_2020.pdf
ジェンダー・ギャップ指数は、経済・教育・健康・政治の4分野14項目のデータを元にして、各国の男女の格差を分析した指数。日本がここ何年も低い順位にとどまっている主な理由は、経済と政治の分野のスコアが著しく低く、いずれも100位以下となっている点にある。

●【海外の反応】伊藤詩織「勝訴」を世界のメディアはこう報じた | 山口敬之と安倍政権との関係も指摘 | クーリエ・ジャポン https://courrier.jp/news/archives/185081/
米紙「ワシントン・ポスト」は、「保守的な男性が支配する国でセクハラ被害を受けた女性たちが直面する障害を浮き彫りにした裁判」とした。仏誌「マリー・クレール」は、日本の性犯罪に関する刑法を「時代遅れの法律」と指摘

●19年の出生数が急減 1~9月、5.6%減の67万人 :日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52631090W9A121C1EE8000/
「18年の日本生まれの日本人は91.8万人で、現在の減少ペースが今後も続くとすると、19年の出生数は87万~88万人程度になる可能性がある。10年前に比べて20万人程度少ない。1899年の統計開始以来、最少だ。」

(出生数の減少問題を日経新聞が報道してくれました。嬉しいです。 | 福岡大学経済学部教授 木下敏之の「九州経済論」 https://ameblo.jp/toshiyuki-kinoshita/entry-12549465380.html

(出生数90万人割れへ 19年、推計より2年早く  :日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50672490W9A001C1MM8000/

●年功賃金、男女格差......収入カーブから見える日本社会の歪み|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト https://www.newsweekjapan.jp/amp/stories/world/2019/02/post-11728.php
「賃金格差の是正も求められる。日本は収入のジェンダー差がはなはだ大きいが、「女性はパートが多いからだろう」と思われるかもしれない。事実、配偶者控除のライン(年収150万円以下)を意識した働き方をしている女性も多い。しかし、労働時間を考慮した時間給で見てもジェンダー差がある。」

●男女の賃金格差の公表を義務づけると差が縮まる | HBR.org翻訳マネジメント記事|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー https://www.dhbr.net/articles/-/5749
「デンマークでは、従業員数が35人を上回る企業に対して、男女間の賃金格差の公表を義務づけた。筆者らの研究により、こうした取り組みは賃金格差を解消する以上の成果をもたらすことが明らかになった。」
給与格差の改善が最も顕著な企業は、男性マネジャーに息子よりも娘が多くいる場合
・法が施行される前に男女間で給与格差が大きかった業界ほど、格差のより大幅な縮小が見られた

●日本の劣化が止まらない、「所得格差」が人の心と社会を破壊する|ダイヤモンド・オンライン https://diamond.jp/articles/-/221985
「個人間の格差は前述の通り短期間で拡がっています。また、「大都市圏と地方」、「正規と非正規雇用者」などグループ間格差も顕著になっています。もしこれが日本以外の国ならば、暴動や革命が起きてもおかしくない状態です。」」
・所得格差が大きくなるほど、人の健康も社会問題も悪化する

・格差拡大で日本の劣化が進んでいる(2003~06年 → 2010~17年)

●「日本は貧乏になった」ワイドショーが冷静に認識しはじめた – アゴラ http://agora-web.jp/archives/2043253.html
「日本の格差拡大は、他国のように富者への富の集中ではなく、中流階級の低所得層への没落だ」
・「このままいくと日本は全員が平等で貧乏な国になる」

●人口減と借金で「30年後に日本終了」の現実味 | 東洋経済オンライン https://toyokeizai.net/articles/-/313455
その国は「投資」するに値するか、という視点から各国の状況を点検するために、世界中を飛び回っているジム・ロジャーズ氏の指摘。
「借金が増えて人口が減る。単純な算数の問題です。あなたは私が知らない何かを知っているのかもしれませんが、このままいけば悲惨な末路しかありません。日本がすぐに消滅することはありませんが、そのうちなくなってしまう可能性だってあります。」

その象徴的な出来事として、若者が公務員志向に転じた点を示唆する。
「「変化」は日本を表す言葉ではありません。今若い人が子供を持たないのは、将来に対する不安が大きいからです。日本では誰もが何かがおかしい、と感じているわけです。
だから、彼らの1番の「野望」は公務員になることなのです。若者がこぞって公務員になりたい、という国がエキサイティングな国でしょうか?」