●Computational Thinkingと『ルビィのぼうけん』

┃Networks あるいは知のパラダイムシフト
ICT、意思決定、コミュニケーション、学び、意味と構造化など

D:学習・教育のデジタル化と変容する知の体系

「自分の日常の中で、大きくて怖い問題を、対処可能な小さな問題に分割すること。失敗のパターンをみつけて、対応を考えてること。難しい問題にぶつかった時の考え方の筋道が見つける方法を知っておくことは、勇気にもつながります。困難を必要以上におそれずに対処する、その手助けにこの絵本がなればいいなと思っています(「ルビィのぼうけん」が世界的ヒット 親子で読みたいフィンランド発のプログラミング絵本 http://www.huffingtonpost.jp/2016/06/17/ruby_n_10520384.html )」

『ルビィのぼうけん』の著者、フィンランドの女性プログラマー、リンダ・リウカス氏のことばだ。

この発言の内容は文科省が唱える「生きる力」とほぼイーコールだ。そして、英国文科省が2014年から義務教育課程のカリキュラムに「Computing」を組み込む狙いを説明した、

「世界を理解し、なおかつその世界を変えていくために必要なスキル、それがComputational Thinkingなのだから」、
(英国義務教育課程のComputing【セミナー備忘録】 http://society-zero.com/chienotane/archives/5405

とも通じる。

日本で2020年度からスタートする「プログラミング」は、このような文脈の中で理解する事柄である点が重要だ。

●小学校の先生にこそおすすめの絵本 『ルビィのぼうけん』 https://shimirubon.jp/reviews/1683066
「この絵本にはコードもパソコンもロボットもいっさいでてきません。「プログラミング的思考」の基本的な考え方に注目して、それがどんなものなのかを自然と感じ身につけられるように設計されています。「プログラミング的思考」のベースとなるものの考え方が、普段の生活シーンとと地続きなかたちで絵本という媒体を使って表現されています」。

●英国義務教育課程のComputing【セミナー備忘録】 http://society-zero.com/chienotane/archives/5405
「プログラミング教育で「文法的に正しく、バグのないようにプログラミングすること」を教えるのは、大して重要な教育目的ではありません。そんなことは、プログラマーという職業に就く人だけに訓練すればいい。瑣末な事です。
万人のリテラシーとして重要なのは、「問題を理解し、適切にモデリングし、適切な解法をデザインすること」です。」

●これならできる小学校のプログラミング~プログラミングで学ぶ教科の学習 http://blog.ict-in-education-cr.jp/entry/2017/06/06/220000

注意すべき一番のポイントは、「プログラミングを学ぶ」のではなく、「プログラミングで学ぶ」という点。つまり、「プログラミングは学習目的ではなく、手段としてプログラミング的思考を使って、各教科の指導内容を学ぶのだ」。

●プログラミング教育、本当に必要な内容と指導とは…堀田教授ら登壇 https://resemom.jp/article/2017/06/07/38521.html
「未来を担う子どもたちがプログラミングについて知らなければ、“ロボットに使われる”ことにもなりかねない。イギリスでは「コンピューティング」という教科があり、小学校1年生からアルゴリズムやデータ構造についても学んでいる。日本の子どもたちは、将来彼らと闘わなければならないと考えると、プログラミング教育は避けて通るわけにはいかない」。
ただ、やみくもに端末に向かうのがプログラミング思考を養う方法ではない。
・学年ごとに適したソフトがある
・実物があると低学年の児童にもプログラミングの仕組みが理解しやすい
・パソコンを使わなくてもワークシートなどを使ってプログラミング的思考力の育成はできる
以上は先行的に実践を積み重ねた先生からのアドバイス。

●プログラミングで育成する 資質・能力の評価規準 https://beneprog.com/keyc/
ベネッセが、文部科学省が示した「プログラミング教育を通じて目指す育成すべき資質・能力」の枠組みや海外の事例を参考に、プログラミングで育成する資質・能力を整理(大学・企業・NPOなどに属する有識者の協力を得て)。

●日本の教育情報化遅滞や情報機器死蔵率【セミナー備忘録】 http://society-zero.com/chienotane/archives/5390
先生の心のデジタル・デバイドも、プログラミングなどを含むICTの教育現場への活用を阻んでいる要因。

●新学習指導要領に向け 若手教員らにアドバイス https://www.kyobun.co.jp/news/20170614_02/
学習観が変われば、教師像も変わる。自ら学び続けることで、学び続ける、アクティブ・ラーナーを育てる責務が。
「各教科に応じた見方・考え方が、知識の中心であるのを理解してほしい。学校教育の目標は、学びつづける主体を育てること。学び続ける主体を育てる教師とは、学び続ける教師だ」。

●EPUBのアクセシビリティ仕様が求めるアクセシビリティメタデータ http://code.kzakza.com/2017/06/epub_discoverable_metadata/
EPUB 出版物のアクセシブルな品質、つまり「アクセシビリティの観点でどういう仕立てになっているか、何を含んでいるか」がぱっとわかるようにする。そのためのメタデータの要件定義をした。
「アクセシビリティ要件を満たすために用意された全てのアフォーダンスを知ることを要求することは、ユーザーが、それを購入したり、借りたり、別な方法で入手するとき、EPUB 出版物のユーザビリティを判断するために必要である」。
schema.orgの語彙が援用されている。

●子供の学力の新観点「思考コード」を知っていますか? https://www.syutoken-mosi.co.jp/column/entry/entry000668.php#QMWzfyY.facebook_share_original_count
問題のレベルを分類する手法。知識とは何か? 思考力とは何か? それを可視化するマトリックス。難易度というより、認知機能との関連でのマッピングで、子どもの思考内容や逆に授業の成果を見積もるのにも参考になる。

教育目標分類学がベースにあり、OECDの学習到達度調査通称PISA、ヨーロッパの言語運用能力基準CEFR、国際バカロレアのディプロマポリシー、イギリスやアメリカの共通テストなどもこれに準拠している。
・教育目標分類学(通称ブルーム・タキソノミー

・大学入試改革における新入試制度の概念図と思考コード

●MIT提供のSTEM教育ビデオ、日本語版の無償提供スタート https://resemom.jp/article/2017/06/01/38431.html
「各動画とも15分前後とコンパクトで、電子黒板での活用や反転学習教材としても利用できる。また、動画と同期した日本語字幕・英語字幕も見ることができるので語学教材にもなる」。

●教育ICT:イギリス最新動向 2017【セミナー備忘録】 http://society-zero.com/chienotane/archives/7193
教育行政・学校運営を支えるICT。英国でも米国同様、説明責任、アカウンタビリティの土壌の上に、その負担をサポートする位置づけで教育現場へのICTが普及している。

 

┃Others あるいは雑事・雑学

●なぜ機械学習にPythonが選ばれるのか http://qiita.com/yaju/items/5502115d7e3d06e6bbdd