「広告収入」モデルから「定額モデル」へ【このグラフ・このイラスト】


◎デジタルがフィジカルを初めて上回った2015年の世界の音楽市場の構成:
定額制モデルからの収益は推定ユーザー数6800万人に対して約20億ドルだったところ、広告モデルでは推定ユーザー数9億人で収益が6億3400万ドルだった。

◎この傾向は2016年も変わらない。

1.デジタルがフィジカルを初めて上回った2015年

その転換を演出したのは「定額制音楽配信サービスの世界的普及」。
背景にあるのが、音楽との接触時間を飛躍的に増やしたスマホ。スマホと定額制が相まって、この現象が起きた。

「定額制音楽配信は、音楽再生機器に制限されない利点もある。CDに必要な再生環境や物理的収納、また、ダウンロードを保存するストレージの容量もストリーミングでは気にする必要がない。PCやモバイル、オーディオ機器と連携するプラットフォーム戦略によって、リスナーはあらゆる場面や時間帯、活動に合わせてサービスを使うことが可能になった。そのため、仕事場でも自宅でも移動中でも好きな音楽にいつでもアクセスして聴くことができ、途切れることなく音楽の継続再生ができる環境ができたことは、近年の音楽消費における最大の変化(Spotify日本上陸から見える音楽ビジネス新世紀の現状 | ORICON NEWS http://www.oricon.co.jp/news/2081696/full/ )」

 

2.タイムライン的「消費」形態と「定額制音楽配信サービス」

全国規模のランキングより、自身の関心と興味の周囲にある「島宇宙」でのランキング(今話題の曲)に即反応し、その楽曲にアクセスできる「リアルタイム性」が、「定額制」のもうひとつの魅力。

「最新リリースがどれだけ売れたか、といった指標から、リスナーの関心は、他の誰が何を聴いているか、何が話題か、に移り始めている。1週間分の売上チャートでは見えてこない、密かに盛り上がる新曲や、新人の注目曲が刻々と音楽配信サービスの中で可視化されるため、世の中のヒット曲が生まれる前に、ヒット候補曲を聴くことができる」

 

■関連URL

★IFPI Global Music Report 2017 http://www.ifpi.org/news/IFPI-GLOBAL-MUSIC-REPORT-2017
●歴史的転換点 成熟化と、AIとIoTがもたらす変貌  http://society-zero.com/chienotane/archives/4137
●日本で定額制音楽配信サービスは定着するか?  http://www.mm-lab.jp/report/does_streaming_music_distribution_service_settle_in_japan/