●既存金融秩序の破壊 ブロックチェーンとPD資格返上

160624 MP フィンテック

┃Economy あるいは資本主義のメタモルフォーゼ
成長と生産性、ビジネスモデル、経営、、国家、民主主義など

●インターネットの次、ブロックチェーンの基盤を固めるとき:伊藤譲一氏、村井純氏らが指摘 http://digiday.jp/platforms/blockchain-next-future-internet/
ポイントは、セキュリティと非中央集権のトレードオフ。
ブロックチェーンは非中央集権(ディセントラライゼーション)であるがゆえに、政府機関からはだれも安全性を担保してくれない。頼りは技術。暗号技術が「信用」にとってかわる、という部分をコアとする社会インフラ。

ただし、インターネットとブロックチェーンは似ている。分散/オープンを基軸にしたインターネット同様、自律的な仕組みの構築はきっと可能だ。ただ危惧される点がある。インターネットは様々な当事者が時間をかけて育ててきた。一方ブロックチェーンは投資家だけが、ただ急いでいる。
「インターネットには1985年に開始した『NSFネット』というプロジェクトがあった。インターネットの技術を10年ほどかけて鍛えた。いろんなインターネットの技術を成熟させた」。
「ブロックチェーンでは、そういう人が全部ベンチャーに入っちゃって、どうやってカネを儲けるかに集中している。どうやってインフラを作ろうかと考えている人はいなくなりつつある」。

●フィンテック・バブル https://joi.ito.com/jp/archives/2016/06/16/005601.html
「インターネットがメディアや広告に対して果たしてきたものと同じ役割を、The Blockchain(ビットコインのブロックチェーン)が金融や法律に果た」す。
インターネットは、オープンな標準に基づく明確なレイヤという構造特質がイノベーションを喚起した。
「実際、TCP/IPがATM(Asynchronous Transfer Mode 非同期転送モード)――標準としての対抗馬――に勝てた理由は、ネットワークのコアが非常にシンプルで「バカ」だったエンド・ツー・エンド原則のおかげで、ネットワークの末端が非常にイノベーティブになれたからだ。この二つの標準がしばらくしのぎを削ったあげくに、TCP/IPが明白な勝者だと判明した」。

●「フィンテック」サービスの拡充で変わる金融業界 http://www.lifehacker.jp/2016/05/160522mugendai.html
日本IBMはフィンテックへの取り組みの一環として、銀行に向けた「FinTech共通API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」の提供を開始。

●住信SBIネット銀行のブロックチェーン実証実験でわかったこととは? http://knowledge.sakura.ad.jp/knowledge/5192/
住信SBIネット銀行による実証実験で、ブロックチェーンは「主な検証項目において、勘定系システムとして機能する」と結論付けられた。
理由は、「すべての取引の監査証跡管理が可能になる」、「非常にダウンしにくい」という特徴を持つからだ。しかし「ブロックチェーンとデータベース管理システムは本質的に異なるものだ」。だから、「現実のシステムでは、ブロックチェーンによる分散型帳簿とデータベース管理システムを使い分けることになるだろう」。

●ゴールドマン「ブロックチェーンで年6600億削減」 ロシア貯蓄銀行VP「10年で銀行なくなる」 https://zuuonline.com/archives/108564
ブロックチェーンの登場によって10年後には金融システムがそっくり新しいものに入れ替わっている?
「高コストで複雑な現物市場のポストトレード(取引内容などの通知)のプロセスをブロックチェーンで簡潔化することを提案しており、人件費や管理業務などを大幅に減らすことが可能」。
「分散型台帳の導入による人件費削減総額は9億ドル(約992億7000万円)、システム運営費削減総額は7億ドル(約772億1000万円)と見込まれている。またブロックチェーンの透明性が、年間30億から50億ドル(約3309億から5515億円)のマネーロンダリング取引を防止できる」。

●ブロックチェーンの破壊的影響は金融業界の枠を超える http://www.dhbr.net/articles/-/4380
取引コストを下げる。
そのことによって株式会社の発明に匹敵する、いやそれ以上の影響を資本主義に与えるであろう技術群、それがブロックチェーン。
ブロックチェーンは「価値を扱うためのみにつくられた、初のデジタル媒体」、技術インフラ。情報に特化した初のデジタル媒体がインターネットであったのと、まさに同じ。すべての取引をグローバルに検索可能なデータベースは、調査のコストを劇的に下げていく。

「ブロックチェーンの「スマートコントラクト」(複雑な命令を自動的に実行するソフトウェアプログラム)は、契約の締結・履行と決済に要するコストを激減させるはずだ。また、ブロックチェーンにおける自律エージェント(リッチアプリケーションのように動くスマートコントラクト群)は、仲介者の存在と調整コストを不要にする可能性を秘めている。マネジメントがほとんどもしくはまったく必要のない、高度に分散化された企業の形成にもつながるかもしれない」

●ブロックチェーンをベースにしたツールでMediachainはアーティストの著作権管理を目指す http://jp.techcrunch.com/2016/06/03/20160601mediachain-enivisions-a-blockchain-based-tool-for-identifying-artists-work-across-the-internet/
調査コストの激減は、たとえば著作権管理にも使える。
「コンテンツのメタデータを使って自動でクリエイティブ作品の帰属を設定し、コンテンツ利用などの履歴を保存する。また、コンテンツがどのように使用されているかというアナリティクスも提供する」。
現在、「クリエーターが自身の作品のオーディエンスと関わることができない形で、著作権が奪い取られている」。
「問題は、作者が作品のコントロールをオーディエンスに失っていること、(他方)作品を支持する人に、本来の作者が見えなくなってしまっている」こと。

●ブロックチェーンは政治も変える…未来本ベストセラーのDon Tapscottにインタビュー http://jp.techcrunch.com/2016/05/31/20160529innovate2016-how-the-blockchain-will-clean-up-american-politics/
「ブロックチェーンは基本的に透明な技術なので、その変更不可能な公開台帳と併せて、政治家たちをこれまでのように曖昧な嘘つきであれないようにする。これからはすべての政治家が、自分と自分の意図に関して正直であることを強制される。ブロックチェーンは究極的に、アメリカの政治システムを消毒する。不誠実をあばき、政治的会話の説明責任を強化する」。

●デバイス・デモクラシー モノのインターネット(IoT)の未来のために http://www-01.ibm.com/common/ssi/cgi-bin/ssialias?htmlfid=GBE03620JPJA
IoTが現在抱える以下の大きな問題をブロックチェーンを用いて解決する、IBMの発想。
1.接続のコスト:数年間のサポートをする十分なマージンがあるか。
2.インターネットに対する信用:クローズドソースによるセキュリティはオープンソースによる”透過性の高いセキュリティ”に変わるべき。
3.長期間使用される:IoTはスマートフォンやPCと異なり長期間使用される。車は10年、家は39年、鉄道や航空システムは50年以上使用される。
4.壊れたビジネスモデル
データの宣伝や売買の限界費用はゼロなので、市場原理によると価格はゼロに近づく。実際に売り上げをあげれるチャンスがあるのは、データを大量に持っていて統合する者に限られる。アプリケーションの売り上げは楽観的すぎるものが多く、スマートデバイスの製造者はIoTのエコシステムでマネタイズの方法を見つけられていない。

●三菱UFJ銀が行内通貨「MUFGコイン」を実験開始、その基盤技術は? http://btcnews.jp/mufg-coin/
狙いは、金融取引などの管理にかかる費用を大幅に節約し、国際送金や振り込みの手数料を安くできる点。
「2015年4月には米BNYメロンがビットコインのフォーク「BKcoin」を行内向け通貨として実証実験を開始したことを発表。また、米Citiも同じように「Citicoin」の実証実験を夏ごろより開始している。米Goldman Sachsもまた、暗号通貨およびブロックチェーン技術を使った証券決済向けソリューション「SETLcoin」の実験を開始、さらに、スイス・UBSも銀行間取引のための「セトルメントコイン」を開発中だ」。

●スマホだけで現金引き出し 三菱UFJ銀、18年に導入 http://www.asahi.com/articles/ASJ7P55S0J7PUUPI004.html
2018年から「カードレス」へ。世の中の「スマホシフト」の一環。
スマホのセキュリティー技術の向上を受け、キャッシュカードの機能をスマホに統合していけば、偽造の恐れがある印鑑やカードよりも安全性が高まると判断した。

●焦点:三菱UFJのPD離脱、透ける対日銀の構図 長期リスクも http://www.newsweekjapan.jp/headlines/business/2016/06/171440.php
「金融機関は、負債にあたる預金の利回りは実質ゼロ%が下限となっているが、資産に計上される国債の利回りは、マイナス金利政策の影響で低下」。プラスのキャリー収益確保に難しさが増す中で、国債入札のPD制度に妙味はもはやない。
「しかし、長期的な観点でみると、全く別の展開が予想できる。日銀緩和の出口戦略が、かなり遠い将来としても、その時点で現実味を帯びれば、金利上昇を招きかねない」。

●ただごとでは済まない三菱UFJ銀のPD資格返上 日本国債にノー、これは「すでに起こった未来」なのか? http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47112
日銀は国の枠組み中にある組織でかつ、時の政府と独立していることが眼目。
それが米国からの隠然たる要請が政府にあり、その政府の意向を忖度して、ゼロ金利、国債引き受けを金融機関に強要していると言われている。裏は採りようがないのだが、そういったことを背景にした、この決断だと推測される。
国家という枠組みがある曲がり角を曲がろうとしていることだけは確実なのではないか。

 

┃Others あるいは雑事・雑学

●NYタイムズ東京支局長指摘 「大新聞は国民を見下している」 http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/158019

●日本デケェ… 世界地図で見るのと全然違う『国の本当の大きさ』に驚く http://grapee.jp/204670