米国電子出版動向 2015 (2)隆盛が続く米国の自己出版 【セミナー備忘録】

(2)隆盛が続く米国の自己出版

ロマンス、ファンタジーは自己出版から

コミックが日本の電子書籍市場の支え手であるように、米国では自己出版がプレゼンスを確固たるものにし、電子書籍市場を活性化させている。

現にBEA(Book Expo America)2015には、大別し て次の5つのカンファレンスがあるが、自己出版はその中のひとつ、独立のカンファレンスとして運営、展開されている。

・BEAコンファレンス
・IDPF Digital Bookコンファレンス
・BISGコンファレンス
・ブロガーコンファレンス
・uPublishUコンファレンス

五番目がそれに該当するが、このカンファレンスは2012年まで「DIY著者カンファレンス」とネーミングされていた。

その「uPublishUコンファレンス 」のスポンサーに名を連ねるのは下記の企業群。

ある調査によると、Kindleサイトの著者コミュニティの中でジャンルによる販売経路の違いが意識されるようになっている、という。「ロマンス」「ファンタジー」はアマゾンKDP、自己出版だよね、「ミステリー」「児童書」「文芸もの」はビッグ5からでないと儲からないよね、といった具合に。

 

自己出版向けサービス

自己出版はカンファレンスの旧名称、「DIY著者」でも分かる通り、なんでも自分でやってしまうのが原則だから企画編集工程、電子書籍化工程において通常はコストが発生しない。だから自己出版の最後のコスト上の壁が、「表紙画像のデザイン」工程。

そこでこの工程も自分で行えるよう、アプリケーション・ソフトが多数出回っている。

「DIY著者」、なんでも自分でやってしまうのが原則といっても誰かに相談はしたくなる。そんな時、自己出版の著者にプロの編集者をコンサルとして紹介してくれる、マッチングサイトがあったりする。

すこし変わったところでは、小説のネタ提供、あるいは自己出版の著者をインスパイアする、一種のキュレーション・サービスサイトがArts & Letters Daily。

先ほど紹介した、uPublishUコンファレンスのスポンサー、その「ブロンズ」クラスに名前が出てきたlitlette.comはソーシャル・メディアを使った宣伝活動を支援する企業。

またpentian.comは出版に特化したクラウド・ファンディングの企業だが、取次機能を果たし、最適な流通経路を紹介してくれる。

(1)変わる「編集者」像

→(3)台頭する中国