市場における調整機能の効果と限界

適切に価格が与えられ、その情報に市場参加者が適切に反応するならば、個別の経済主体の利潤最大化・効用最大化を旨とする市場経済においても、環境対策(省資源資本基盤と省資源労働の投入)が行われ、全体として脱物質化の方向に向かう。

しかし、現実に、環境対策の実施が十分に行われているだろうか。また、脱物質化への転換が十分に行われているだろうか。必ずしもこれらが十分に行われているとは言いがたいのは、市場における調整機能が働かない分野が隠されているからである。I):『環境を守るほど経済は発展する』において、筆者は、共益状態が発生しない理由について、以下の四つを挙げた。これらの基本は変わっていない。
(1)認識の遅れや情報の欠如
(2)無償で処理される不要物の存在
(3)家計で削減努力を行うことができない不要物の存在
(4)将来時点で排出されることとなる不要物の存在


■参考文献
環境を守るほど経済は発展する』 第四章 「物」に着目した経済学を考える  倉阪秀史 二〇〇二年

 

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I. :『環境を守るほど経済は発展する』において、筆者は、共益状態が発生しない理由について、以下の四つを挙げた。これらの基本は変わっていない。
(1)認識の遅れや情報の欠如
(2)無償で処理される不要物の存在
(3)家計で削減努力を行うことができない不要物の存在
(4)将来時点で排出されることとなる不要物の存在