「人間の条件」の本体としての「地球」

アーレントは『人間の条件』において、「地球は人間の条件の本体そのもの」であると述べている。

「たしかに人間存在を単なる動物的環境から区別しているのは人間の工作物である。 しかし生命そのものは、この人工的世界の外にあり、生命を通じて人間は、他のすべての生きた有機体と依然として結びついている。」※I):引用 『人間の条件』(ちくま学芸文庫、一九九四年)

物質を否定するのではなく、物質の存在を認めること。自然を機械とみるのではなく、自然が人間の意思から独立して挙動するものであることを認めること。これらが、エコロジカル経済学の世界観へとつながっていくのである。


■参考文献
『人間の条件』  ハンナ・アーレント 原著一九五八年(ちくま学芸文庫、一九九四年)

『環境と経済を再考する』 第一章・第五節 エコロジカル経済学につながる思想の方向性  倉阪 秀史 二〇〇六年

★この記事はiCardbook、『なぜ経済学は経済を救えないのか(上)視座と理念の転換』を構成している「知識カード」の一枚です。

なぜ経済学は経済を救えないのか
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I. :引用 『人間の条件』(ちくま学芸文庫、一九九四年)