群れ間関係の地域差

屋久島と金華山島では、群れどうしの関係に明確な違いがあった。群れどうしの敵対的な出会い、いわゆる「群れ間闘争」の回数が、屋久島では金華山島より三倍も多かったのだ。さらに、屋久島ではメスの多くが発情する九~十二月の交尾期にさらに群れ間抗争が多くなったが、金華山島では交尾期にも闘争は増えなかった。


■参考文献
『霊長類学を学ぶ人のために』  西田利貞・上原重男編(世界思想社、一九九九年)

『サルと歩いた屋久島』  山極寿一(山と渓谷社、二〇〇六年)

『野生ニホンザルの研究』  伊沢紘生(どうぶつ社、二〇〇九年)

「日本の霊長類ニホンザル研究の歴史と展望」  山極寿一(『日本の哺乳類学2.中大型哺乳類・霊長類』所収[二九~四九ページ] 東京大学出版会、二〇〇八年)

★この記事はiCardbook、『人類の社会性の進化(Evolution of the Human Sociality)(上)「社会」の学としての霊長類学』を構成している「知識カード」の一枚です。

◎iCardbookの商品ラインナップはこちらをクリック