破壊の狂暴

この他者の抑圧をすべて退け、わたしたちが「解放としての自由」を求めようとすればどうなるか?

ヘーゲルがいうように、それは「破壊の狂暴でしかありえない」。I):フランス革命後の混乱、とりわけロベスピエールの恐怖政治についてヘーゲルは次のように書いた。「我々が人類史について知って以来はじめての、途方もない光景をひきおこしたのであった。」(『法哲学』 §二五八)「否定的な自由が欲すると思っているものは、それ自身すでに抽象的な表象でしかありえず、これの現実化は、破壊の狂暴でしかありえないのである。」(『法の哲学』 五 (中公クラシックス、二〇〇一年))

他者の存在ゆえの、様々な制約・束縛からの絶対的な解放は、その他者を破壊し尽くす行為へと行き着かざるを得ないのだ。


■参考文献
『法の哲学』  ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル 原著一八二一年

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I. :フランス革命後の混乱、とりわけロベスピエールの恐怖政治についてヘーゲルは次のように書いた。「我々が人類史について知って以来はじめての、途方もない光景をひきおこしたのであった。」(『法哲学』 §二五八)「否定的な自由が欲すると思っているものは、それ自身すでに抽象的な表象でしかありえず、これの現実化は、破壊の狂暴でしかありえないのである。」(『法の哲学』 五 (中公クラシックス、二〇〇一年))