子どもに食物を与えることから食物分配は広まった

人間以外の霊長類で、食物をよく分配するのは類人猿と、南米にすむ小型のマーモセット類である。そして、おとなどうしで食物の分配が見られる種では、必ずおとなから養育中の子どもに食物が分配される。つまり、食物を分配する行動はまずおとなから子どもへ発現し、それがおとなどうしに普及したと考えられる。


■参考文献
『家族進化論』第五章・第一節 ダーウィンの難問  山極寿一(東京大学出版会、二〇一二年)

「こころの起源―共感から倫理へ」  山極寿一(『<こころ>はどこから来て、どこへ行くのか』所収 [一五五~二〇〇ページ]  河合俊雄・中沢新一・広井良典・下條伸輔・山極寿一(岩波書店、二〇一六年)

関連知識カード:上巻の第三章・第二節 食物分配と社会性

★この記事はiCardbook、『人類の社会性の進化(Evolution of the Human Sociality)(下)共感社会と家族の過去、現在、未来』を構成している「知識カード」の一枚です。

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