ミラーニューロンの発見

イタリアのリゾラッティのチームは、アカゲザルの脳の中に他者と同調して反応する神経細胞を見つけ、ミラーニューロンと名づけた。I):脳内である神経細胞が、他の細胞に情報を伝達するためには、電気的な興奮を生じる必要がある。これは、細胞体で生じる数十ミリボルトの電位変化で、活動電位(他に発火、スパイクとも)と呼ばれる。霊長類などの脳内で、自ら行動する時と、他の個体が行動するのを見ている状態の、両方で活動電位を発生させる神経細胞があることがわかっていて、これをミラーニューロンという。ミラーとは、 他者の動作を見たとき、自分もその動作をしているかのように、つまり鏡のように活動電位を発することから名付けられた。他者の意図の理解や言語の獲得に役立ち、共感などと深い関わりがあると考えられている。[編集部]

サルにピーナツを与えると脳の中の特定の細胞が発火する。今度は実験者自身がピーナツをつまむと、サルの同じ細胞が発火する。自分と相手を同一化することによって共感を生み出し、模倣による学習をたやすくする脳の働きと考えられる。


■参考文献
『ミラーニューロン』  ジャコモ ・リゾラッティ、コラド・シニガリア 芝田裕之訳 茂木健一郎監修(紀伊国屋書店、二〇〇九年)原著二〇〇六年

 

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I. :脳内である神経細胞が、他の細胞に情報を伝達するためには、電気的な興奮を生じる必要がある。これは、細胞体で生じる数十ミリボルトの電位変化で、活動電位(他に発火、スパイクとも)と呼ばれる。霊長類などの脳内で、自ら行動する時と、他の個体が行動するのを見ている状態の、両方で活動電位を発生させる神経細胞があることがわかっていて、これをミラーニューロンという。ミラーとは、 他者の動作を見たとき、自分もその動作をしているかのように、つまり鏡のように活動電位を発することから名付けられた。他者の意図の理解や言語の獲得に役立ち、共感などと深い関わりがあると考えられている。[編集部]