現われの空間

わたしは、そしてあなたは「だれ」(who)であるか。そのことを、「人間関係の網の目」の中において、互いの言論と活動を通して見出し合える空間を作り出すこと。これが、社会的領域における問題を克服するための、アーレントのさしあたっての回答だった。

それは、彼女がジョン・アダムズの言葉を使って言うところの、「現われの空間」を創設するということだ。


■参考文献
『人間の条件』 第五章・第二十五節 関係の網の目と演じられる物語 ハンナ・アーレント 原著一九五八年

『革命について』 第六章 革命的伝統とその失われた宝 ハンナ・アーレント 原著一九六三年I):ふたつの革命、フランス革命とアメリカ独立革命についての考察を通じ、展開される自由論。アーレントは、自由が姿を現わすことのできる公的空間を保障する政治体の創設として後者を評価した。政党制や代表制ではなく、ある社会の全成員が公的問題の参加者となるような新しい統治形態がその時そこで始められたというのがその論拠。忘れられた革命の最良の精神を二十世紀政治の惨状から救い出す考察だった。アーレントによると、自由とは公的領域への参加のこと。その限りで、自由と似た概念である解放liberationとは区別される。[編集部]

苫野一徳Blog(哲学・教育学名著紹介・解説): アーレント『革命について』[編集部]

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I. :ふたつの革命、フランス革命とアメリカ独立革命についての考察を通じ、展開される自由論。アーレントは、自由が姿を現わすことのできる公的空間を保障する政治体の創設として後者を評価した。政党制や代表制ではなく、ある社会の全成員が公的問題の参加者となるような新しい統治形態がその時そこで始められたというのがその論拠。忘れられた革命の最良の精神を二十世紀政治の惨状から救い出す考察だった。アーレントによると、自由とは公的領域への参加のこと。その限りで、自由と似た概念である解放liberationとは区別される。[編集部]