自然の恵みの存在を忘れる経済学

古典派経済学の学者は、自然の恵みは無限であり経済的な価値をもたないという認識をもっていた。

たとえば、マルサスは、『経済学における諸定義』において、「空気、光、雨などは人間にとって必要でありまた有用であろうと、富とはめったに考えられない」と述べている。また、リカードは、太陽、空気、気圧のような自然の動因は、商品に対して、大いに使用価値を付加するけれども、交換価値を付加することは決してないと主張した。※

このような認識に、市場での交換価値のみに注目する考え方が結合して、自然の恵みの存在を忘れる経済学ができあがっていく。


■参考文献
『経済学における諸定義』  トマス・ロバート・マルサス 原著一八二七年

『経済学および課税の原理』  デイヴィッド・リカード 原著一八一七年

★この記事はiCardbook、『なぜ経済学は経済を救えないのか(上)視座と理念の転換』を構成している「知識カード」の一枚です。

なぜ経済学は経済を救えないのか
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