複数の個人によって相互に共有された認識基盤としての「制度」(3)

社会は、他者同士の間に共有される制度があってはじめて、安定的に運営されることとなる。制度が存在しないと、他者との意思疎通もできず、思想を書き残こすこともできない。

アーレントは、人間の営みを、労働・仕事・活動の三つにカテゴライズしたうえで、「活動(action)とは、物あるいは事柄の介入なしに直接人と人との間で行われる唯一の活動力であり、多数性という人間の条件、すなわち、地球上に生き世界に住むのが一人の人間ではなく、多数の人間であるという事実に対応している」と述べている。この「活動」は、制度への貢献としての知的作業の別表現と言えるだろう。


■参考文献
『人間の条件』  ハンナ・アーレント 原著一九五八年

★この記事はiCardbook、『なぜ経済学は経済を救えないのか(上)視座と理念の転換』を構成している「知識カード」の一枚です。

なぜ経済学は経済を救えないのか
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