身体性を欠くことについてのデカルト批判

メルロ=ポンティは、「自然について口をとざすすべての存在論は、身体を欠いたもののうちに閉じこもることであり、まさにこの理由から、人間、精神、歴史について、幻想的なイメージを与えるものである」と、デカルト的二元論を批判している。※I):引用 「自然の概念」(『メルロ=ポンティ・コレクション』(ちくま学芸文庫、一九九九年)所収)

また、アーレントは、『人間の条件』において、デカルトの哲学は「悪夢にとりつかれている」哲学であると批判した。※II):そこでは、人間生活のリアリティと世界のリアリティが疑われており、人間は自分の感覚と理性を信じることができないと述べ、このような思考によって、「物理的宇宙が、純粋に推理してみても、想像することもできず、考えることもできないものである」ことが明らかになったとき、「人間の精神内部への逃亡は完結する」と述べた。(『人間の条件』(ちくま学芸文庫、一九九四年))


■参考文献
『言語と自然―コレージュ・ドゥ・フランス講義要録 195260  メルロ=ポンティ 原著一九六八年

『メルロ=ポンティ・コレクション』  メルロ=ポンティ 一九九九年

『人間の条件』  ハンナ・アーレント 原著一九五八年

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なぜ経済学は経済を救えないのか
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I. :引用 「自然の概念」(『メルロ=ポンティ・コレクション』(ちくま学芸文庫、一九九九年)所収)
II. :そこでは、人間生活のリアリティと世界のリアリティが疑われており、人間は自分の感覚と理性を信じることができないと述べ、このような思考によって、「物理的宇宙が、純粋に推理してみても、想像することもできず、考えることもできないものである」ことが明らかになったとき、「人間の精神内部への逃亡は完結する」と述べた。(『人間の条件』(ちくま学芸文庫、一九九四年))