霊長類の性皮腫脹

霊長類の性と社会の関連性を示す一つの例が性皮腫脹I):メスが、(その多くは卵胞期において)臀部の毛の生えていない部分を水分の蓄積によって大きく腫らしたり、血管の拡大によって紅潮させたりする特徴。テナガザル属、ブタオラングール、オナガザル属、ヒヒ類、マカク属などでみられ、類人猿とヒトが属するヒト上科においては、チンパンジーとボノボのみが排卵前後の性皮腫脹を示す。だ。

メスは排卵が近づくとお尻が大きく腫れ、オスに発情を示す。ただしこの特徴は、すべての霊長類でみられるわけではない。性皮腫脹する種を系統的に並べてみると、霊長類の種分化の歴史上、少なくとも五度、独立に進化したと考えられる。


■参考文献
『人類進化論―霊長類学からの展開——』第四章 霊長類の性と進化  山極寿一 (裳華房、二〇〇八年)

『性の進化、ヒトの進化−類人猿ボノボの観察から』  古市剛史 (朝日選書、一九九九年)

Primate Sexuality (2nd edition). Alan F. Dixson. Oxford University Press (2012)

 

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I. :メスが、(その多くは卵胞期において)臀部の毛の生えていない部分を水分の蓄積によって大きく腫らしたり、血管の拡大によって紅潮させたりする特徴。テナガザル属、ブタオラングール、オナガザル属、ヒヒ類、マカク属などでみられ、類人猿とヒトが属するヒト上科においては、チンパンジーとボノボのみが排卵前後の性皮腫脹を示す。