ヴァン・シャイクらの社会生態学モデル

西洋の霊長類学者も八〇年代に霊長類社会進化の仮説を提示した。彼らは自然選択説に基づいて論を進めた。

まず、出産育児を行うメスが子孫を残すために栄養条件と安全性を高めようとして群れを作り、子孫を残すために交尾相手の確保が重要となるオスがその群れに加わる。メスは同種のオスの子殺しを防止するために保護能力のあるオスを求め、さらに有限な食物資源を奪い合うことで、群れどうしの敵対や、群れの個体間の親和性など様々な社会関係が進化したと考えた。


■参考文献
『サルの食卓』  中川尚史(平凡社、一九九四年)

『ヒトはどのように進化してきたか』  ロバート・ボイド、ジョーン・B・シルク 松本晶子・小田亮監訳(ミネルヴァ書房、二〇一一年)原著二〇〇二年

『霊長類生態学——環境と行動のダイナミズム』  杉山幸丸編著(京都大学学術出版会、二〇〇〇年)

van Schaik CP. 1989. The ecology of social relationships amongst female primates. In Standen V, Foley RA (eds.) Comparative Socioecology, Blackwell, Oxford, pp.195-218.

★この記事はiCardbook、『人類の社会性の進化(Evolution of the Human Sociality)(上)「社会」の学としての霊長類学』を構成している「知識カード」の一枚です。

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