実物界からの離脱(3) 成長神話

実物界から離脱した経済学においては、経済活動の成果は、市場での価値で評価されることとなった。

市場で高く売れるものが、高い効用を提供する生産物とみなされる。そして、生産要素の購入代金と生産物の売上代金の差を付加価値と呼び、期間内の国内での付加価値額の総和である国内総生産(GDP)を対前年比で増加させる経済が、良い経済とみなされることとなった。

経済成長を指標とする経済運営は、こうして生まれた。


■参考文献
『環境を守るほど経済は発展する』 第三章 経済学はどこで間違ったのか  倉阪 秀史 二〇〇二年

『環境と経済を再考する』 第一章・第三節 従来の経済学の世界観の生成過程  倉阪 秀史 二〇〇六年

★この記事はiCardbook、『なぜ経済学は経済を救えないのか(上)視座と理念の転換』を構成している「知識カード」の一枚です。

なぜ経済学は経済を救えないのか
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