包括的富の指標

経済的付加価値というフローベースの指標の改善のみならず、持続可能性指標のアプローチは、資本ストックに着目して、それを包括的に評価する方向に展開してきた。これが、包括的富の指標(Inclusive Wealth Index: IWI)である。

IWIでは、人的資本、人工資本、自然資本といった各種資本にシャドウプライス(資本の経済的価値)を掛け合わせたものが時間を通じて増加していれば持続可能であると考える理論に基づいている。具体的には、ある資本から期待される将来のキャッシュフローの現在割引価値で評価する。※I):たとえば、人的資本の評価に当たっては、生涯所得アプローチが主に採用され、残存勤務年数に平均所得を掛け合わせたものの現在割引価値で評価する。また、人工資本については、現存する各種人工物の減価償却を勘案した残余寿命にわたるキャッシュフローの現在割引価値を算出する。自然資本については、農林水産業の所得に基づき耕地等面積全体での無期限での将来のキャッシュフローの現在割引価値を算出する。

■参考文献
Inclusive Wealth Report 2014. Measuring progress toward sustainability、 Cambridge University Press、 2014
『新国富論 新たな経済指標で地方創生』  馬奈木俊介、池田真也、中村寛樹 二〇一六年


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I. :たとえば、人的資本の評価に当たっては、生涯所得アプローチが主に採用され、残存勤務年数に平均所得を掛け合わせたものの現在割引価値で評価する。また、人工資本については、現存する各種人工物の減価償却を勘案した残余寿命にわたるキャッシュフローの現在割引価値を算出する。自然資本については、農林水産業の所得に基づき耕地等面積全体での無期限での将来のキャッシュフローの現在割引価値を算出する。