例えば、二足歩行と食物分配に基づいた性的役割分担がそのひとつかもしれない。
捕食者の多いサバンナでは、母親は安全な場所に留まって赤ん坊を世話しなくてはならないので、父親やその他の大人が長距離を歩いて食物を運ぶ必要がある。二足歩行はその長距離移動と食物運搬にとても適していた。
さらに類人猿祖先の時代から行っていた食物分配が人類でより頻繁に行われることで、母と子に十分な栄養を与えられただろう。
■参考文献
『ヒトはいつから人間になったか』 リチャード・リーキー 馬場悠男訳(草思社、一九九六年)原著一九九四年
『ホミニッド——ヒトになれなかった人類たち』 ロバート・フォーリー 金井塚務訳(大月書店、一九九七年)原著一九九七年
『家族進化論』第二章・第十五節 人類の食の特徴と進化 山極寿一(東京大学出版会、二〇一二年)
★この記事はiCardbook、『人類の社会性の進化(Evolution of the Human Sociality)(下)共感社会と家族の過去、現在、未来』を構成している「知識カード」の一枚です。
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