自然に対する人間の優位性としての私的所有

ジョン・ロックの私的所有権の背景には、自然の上に立つ人間という考え方が存在する。

彼の『統治論』では、「私の考えでは、この住むことのできる地球において、他のすべての種類の生き物の上に人類を据えること以外のことをそこに見いだすのは、まじめな読者にとっては困難である」と述べられている。そして、「人間が生存の維持と安寧のために下等の被造物を使用する権利から発生する所有権」を唱える。※I):『全訳 統治論』 (柏書房、一九九七年)

そしてこの考えはルソーへと引き継がれている。彼の『人間不平等起源論』では、「人間の最初の感情は自己の生存の感情であった。そしてその最初の配慮は自己保存の配慮であった。土地の産物は人間にあらゆる必要な援助を提供するのであった」と述べられている。※II):『人間不平等起源論』(中公文庫、一九七四年)

■参考文献
『統治論』  ジョン・ロック 原著一六九〇年
『人間不平等起源論』  ジャン・ジャック・ルソー 原著一七五五年


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I. :『全訳 統治論』 (柏書房、一九九七年)
II. :『人間不平等起源論』(中公文庫、一九七四年)