懐疑可能性を追いつめる

いま目の前に本があるということ、窓の向こうには道路が走っていて、その先には海があり、さらにその先には大陸が続いているということ、そうしたこともまた、原理的には——つまり突き詰めて考えれば——懐疑可能な事柄だ。

いま見えていない向こう側の海が本当に実在するかどうかは、疑おうと思えば疑えるし、デカルトの言葉を借りれば、この目の前の本でさえ、夢や幻かもしれないと疑うことは可能であるからだ。

■参考文献
『イデーン 』 
 エトムント・グスタフ・アルブレヒト・フッサール 原著一九一三年
『方法序説』  ルネ・デカルト 原著一六三七年※I):『理性を正しく導き、諸学における真理を探究するための方法についての序説』が正式のタイトル。デカルトの最初の著書で、合わせ刊行された三試論(光学、気象学、幾何学)の序文として書かれた。第一部は「良識(ボン・サンス)はこの世で最も公平に分配されているものである」という有名なことばで始まるが、公衆の良識を<ruby>涵養<rt>かんよう</rt></ruby>するには研究の成果が万人に共有されるべきだとの考えから、ラテン語ではなく、当時の俗語、フランス語で書かれた、という特徴も持っている。


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I. :『理性を正しく導き、諸学における真理を探究するための方法についての序説』が正式のタイトル。デカルトの最初の著書で、合わせ刊行された三試論(光学、気象学、幾何学)の序文として書かれた。第一部は「良識(ボン・サンス)はこの世で最も公平に分配されているものである」という有名なことばで始まるが、公衆の良識を<ruby>涵養<rt>かんよう</rt></ruby>するには研究の成果が万人に共有されるべきだとの考えから、ラテン語ではなく、当時の俗語、フランス語で書かれた、という特徴も持っている。