Tag Archives: wook

●after internet時代の「読書」

A:<メディアとしての紙>から<デジタル化するメディア>へ

●〈文庫〉の思想と「読書運動」 « マガジン航[kɔː] http://magazine-k.jp/2016/11/01/editors-note-14/
「読書」をどう位置付けるか。
「文学テキストは、会話や書きものによる意見交換の本質的な一部であり、読者ひとりひとりの主観性と彼の他人との対話から生命を得ているのである」。ピエール・バイヤールの〈共有図書館〉と三木清の文庫は、この点で通底した問題意識の上にある、と言える。
〈共有図書館〉:読書の本質にあるのは一冊一冊の本の内容を正確に理解し、記憶することではなく、〈ある時点で、ある文化の方向性を決定づけている一連の重要書の全体〉を把握すること。
自前の個人図書館(=文庫):三木清は読者がそれぞれに「性格的」で「スタイル」を得た、自前の個人図書館(=文庫)をもってほしいと願った。

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学研 2020年までの教育プラットフォーム戦略 【セミナー備忘録】

(個人用のメモです。議事録ではありません。記事中の図画はプレゼン公開資料を使用しています)

◎ JEPA|一般社団法人日本電子出版協会 2015年5月20日 学研 2020年までの教育プラットフォーム戦略 http://www.jepa.or.jp/sem/20150520/

■貴重な指摘

1.教育のICT化については、私的セクターの方が動きが早い(小中高生向け塾、保育園)。
2.非コミック系でも電子書籍売り上げは「シリーズもの」が強い(「学び、歴史、ビジネス、実用」の4ジャンルでも)。
3.「体験」が口コミで広がっていくことが、新サービス、新商品の投入時期には重要。
4.公共図書館向け電子図書館は、県立クラスは今後急速に普及しそう。だが市町村立クラスはむしろ有償・無償問わず地域に貴重な、また必要な資料をアーカイブする「電子ライブラリー」に需要がある。

■感銘を受けた点

1.早くから自社コンテンツをデータとして自前保管していた。
2.「データベース(構造化データ)」という発想があった。
3.エンドユーザーを知る、そのために情報を得るという観点で、自前配信サイトを構築した。
4.Web世界でコミュニティを作ることで、あるいはリアルのコミュニティがすでにあり、それをweb世界へ移行することで、「宣伝・プロモのデジタル化」を具体化した。


 

第一部:ブックビヨンド

教育のデジタル化への取り組みは古い

・第二部に出てくるが、1946年設立の学習研究社は早くも1955年に映像部を設立、映像コンテンツを手掛け始めた。
・編集工程の合理化など業務のデジタル化のために1970年、情報処理開発事業部を設立。教材コンテンツのデジタル化、さらにはデータベース化に早くから取り組み、そのベースをもとに、2010年「ブックビヨンド」の前身となる「デジタル事業推進室」を開設した。
学研 戦略 歴史 7

・そのうえで、「本のデジタル化」の切り口、そしてもうひとつ「教育のデジタル化」の視点から、2013年10月「ブックビヨンド」を、2014年10月には「学研教育アイ・シー・ティー」をそれぞれ子会社として設立した。
学研 戦略     11学研 戦略 会社設立 12

ブックビヨンドの戦略課題

1.電子図書館

・市場動向の基本認識=本は所有から閲覧の時代へシフトし始めた。
・逆にいうと、「読書」の総量は変わっていない。そのなかで「読書の形態」がシフトしてきているのだ。
・ただまだまだ公共図書館のサイドで電子書籍に対する関心やニーズは低い。
・ただし、県立クラスであれば、2015年1月施行の改正著作権法の「複写権」や、県立図書館のリニューアル事例が今後増えることを考えると意外と普及していくかもしれない。
学研 戦略 所有から閲覧 15
・本のデジタル化の是非云々より、公共図書館が抱える差し迫った課題は、地域創生への貢献、具体的には自治体資料や地域資料の閲覧サービス展開。
・「地域の情報・文化プラットフォーム」の仕組みに対して需要がある、と感じられた。この需要に対応するのは「クラウド型電子ライブラリー」。
学研 戦略 クラウド型 21

2.自社プラットフォームの可能性

・電子書籍の売上を立てようと思うと、「単価 × 部数」の両方で数字が上向く必要がある。この点、「シリーズもの」で単価増の確保、「読み放題」で客数増を体験した。

・コミックの電子化でも市場を拡大させたのは、「シリーズ買い」。
・そこで学研の過去作品の中で、「学び、歴史、ビジネス、実用」の4ジャンルで「シリーズもの」を集め電子化した。50を超える電子書籍販売サイトが日本にあるが、ほぼその全部で売ってみた。
「シリーズもの」で、1千点のポートフォリオが作れるなら、1億円の売り上げができる、というのがその時の経験値。
・雑誌については定額読み放題で客数の増加につながることが確認できた。

・しかしその先には3つの課題が残った。
学研 戦略 3つの課題 26

・そこで解題解決のとりあえずの形として、直営店を使ったマーケティングデータの取得にチャレンジ。
・「学び、歴史、ビジネス、実用」の4ジャンルで既刊2万点強を集め、顧客行動についてのデータと、失敗、成功両方のプロモーション・ノウハウを積み上げることができた。

・そしてもうひとつ、キュレーション・メディアによる、電子ならではの新刊プロモーション施策にトライ。新刊に関する購買への導線づくりに目途をつけることができた。
学研 戦略 直営店 27
・ただ自社新刊だけでは、点数増のテンポに限界があるので、「コラボ型ボーンデジタル電子書籍」のジャンルを開拓。
・これはテレビ局、通信・新聞社、Webメディア、これら従来からの取引関係先から、それぞれの自社内生成コンテンツを、ニッチコンテンツとして、ブックビヨンド・レ―ベルで電子出版するもの。
・そこでニッチな書籍には、その書籍のテーマに関心を持つコミュニティがあり、その活用次第で電子書籍のもうひとつの導線ができることに気づく。
学研 戦略 ボーンデジタル 28

・ここでヒントになったのが「沖縄ebooks」という「地域特化型電子書籍」の存在。
・そこで知った、wookというシステムがその後の事業展開に大きく影響を与えることになった。
学研 戦略 沖縄1 30

3.クラウド型ライブラリープラットフォームwook

・2014年12月、ブックビヨンドはキングジムからwook事業の譲渡を受けた。
(●ブックビヨンド、電子出版プラットフォーム「wook」の運営開始 http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1502/02/news076.html )
・最初のサービスコンセプトは「地方創生」。地方企業に電子発信をするプラットフォームを提供する、というアイデア。
・このプラットフォームを使うことで、地方創生を企図する地方企業は、

 a.月額9,500円から会員限定クラウド型ライブラリを簡単に開設できる
 ~この程度の金額なら、非ISBN、つまり有償で販売することを想定しない電子書籍の配信サイトとしても活用可能
 b.専用電子書店で高粗利で販売でき、会員限定無料公開や印刷も簡単 
 ~75%の還元率はKindle・KDPより高率。かつ自前配信サイトのメリットを追求可能。
~自前配信サイトのメリットとは、たとえば献本(無料電子書籍の配信)や、商品を買ってくれた人にコードを配ることで、そのコード入力から電子書籍を特典として配信するなどができる点。また紙の印刷と組み合わせることも可能
 c.電子書籍を作り放題! 電子化コストを1/10以下に激減できる(月額 9,500円 から)

という手段・ツールを手にすることができる。

・簡単に電子書籍が作れる。手軽に情報発信ができる。容易に電子書籍を販促ツールや情宣手段として活用できる。これらの「体験」が口コミで伝わることで現在では1千サイトが、WOOKをベースに展開中。
・使い方により、地域に眠っているコンテンツ資産を有効活用でき、地域創生のための「地域コミュニティのプロデューサー」になることができる。
学研 戦略 メリット 34学研 戦略 wook 36学研 戦略 wook 37

・さらに「地域コミュニティー」を空間的にのみ把握する必要はないという事例も出てきた。共通の関心や問題意識、課題を抱え、それを仲間の力で解決していこうと考える人々にとって、また仲間同士の交流、イベント活性化策などにも十分役にたつツールとなりうる。

・特にTossMediaは過去30年の蓄積コンテンツをアーカイブ化して、有料会員が自分の勉強資料となるよう提供してきた事業で、ここにwookを連結することで利便性が格段にあがった。
・1万人いる会員は学校の先生方。たとえば来月の運動会の運営についてわからないことがあれば、このサイトで検索し、自分に必要なノウハウ、マニュアルを瞬時に手に入れることができ、好評。これは一種のバーチャル図書館ともいえる。
学研 戦略 読み放題 39
学研 戦略 tossmediaoの評判 40
学研 戦略 地元 43

・またコミュニティといえばSNSだが、このwookは何も「課題解決」のためのツールとなるばかりでなく、SNSに似た拡散効果、「宣伝・プロモのデジタル化ツール」としても機能するポテンシャリティを併せ持っている。
学研 戦略 社内報 44学研 戦略 セミナー 45学研 戦略 イベント 46

・こういった、wookプラットフォームでの有償、無償の電子書籍コンテンツの蓄積が、やがては市町村レベルの電子図書館アーカイブの対象となっていくのでは、という展望も持っている。

・最後にwook事業を総括。
学研 戦略 3つのビジネス 47学研 戦略 新サービス 49

学研 戦略 プラットフォーム 50

第二部 学研教育アイ・シー・ティー

学研教育アイ・シー・ティーは2014年10月に設立された会社

・株式会社学研ホールディングスの100%出資子会社

・現状認識:
「大学入試改革」「教育のグローバル化」「公教育のICT化・タブレットPC生徒一人1台の導入」と東京オリンピックが開催される2020年に向けて教育改革の施策が矢継ぎ早に打ち出され、検討されている。

・設立背景:
そのような 政府施策にしっかり伴走し、その実現を確かなものにする中で事業拡大の機会を確保したい。そのため学研グループのリソース(これまでのコンテンツ資産、ノウハウ、人材、リレーションシップ他)を有機的に統合し、サービスとして提供していく拠点となる組織。

・事業内容(3本柱):
1.学研グループ各社の支援=ICT事業について先導的に企画・商品開発を支援する
2.学習コンテンツ・サービス提供事業=すでにグループ全体として学習コンテンツをデータベースとして保有しているし、開発済みの学習システムも保持している。それを政府施策に沿う形で、ハードメーカーやコンテンツ流通事業者との協業と通じて、サービス商品として提供していく。
3.教育ICT関連R&D事業=官公庁・外郭団体等の受託案件に取り組む。

小中高校がターゲット

1.政府の教育改革の施策内容を前提にしたサービス内容の展開
・あるべき教育改革の内容を提言するような形でのビジネス展開ではない。
学研教育ICT 5

2.ターゲット・マーケットは3つ=学校/塾・予備校/家庭
学研教育ICT  7

3.3つのターゲットでの展開イメージ
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・特に塾業界でのICT化には目を見張るものがある。「教授」内容の品質の標準化が経営の至上課題だからだ。当面、教育のデジタル化は私的セクターが先行することになるだろう。
・小中高校で始まったこの動きは、最近幼稚園、保育園にも広がり始めている。ただその普及ぶりは保育園のほうが強いという印象を持っている。

・また学研のこの領域での強みは、ターゲット・マーケット3つに対し、均等な市場プレゼンスと実績を有すること。この点ではベネッセやZ会などに負けないとの自負がある。

 

4.資産としてのコンテンツ(データベース)と開発システム

「ニューコース学習システム」と「ニューワイド学習データ」
学研 コンテンツ・システム 2

出典: http://gakken-ict.co.jp/business/pdf/gakken_ict.pdf

・映像教材 http://www.gakken-eizo.com/search/new/index.html
1946年、学習研究社が設立された当時から「紙媒体のみにこだわることなく、他のメディアにも視野を広げ、先駆的な教材を創りだす」ことを方針としていた。1955年には映画部が作られ、理科や社会科など学校現場で使われる教材映画や児童向け人形アニメーションなどを独自の手法で次々に映画化。教育のための「実用映画」のジャンルを確立するのに活躍する1社となった。

・学研キッズネット http://kids.gakken.co.jp/
小学生・中学生用の、学習に特化した情報ポータルサイト。教育学を研究する大学との連携活動も盛ん。その成果物のひとつが、学習百科事典+キッズネットサーチ  http://kids.gakken.co.jp/jiten/

 

 (2015年5月21日 加筆修正)


◇関連クリップ
●学研 2020年までの教育コンテンツプラットフォーム戦略 http://www.slideshare.net/JEPAslide/ss-48338773
●学研教育ICT http://www.slideshare.net/JEPAslide/ict-48317553

●日本の出版事業に新たな道を切り開く使命を持って、新会社「ブックビヨンド」設立! http://bookbeyond.co.jp/news/201310/20131001.html
●教育の大変革時代に向けて、 新会社「学研教育アイ・シー・ティー」設立 http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000398.000002535.html