Tag Archives: 階層性

「知識カード」と5百年前のページネーション

1.「ページ番号」を付した書物の誕生

1452年から55年にかけてドイツのマインツでグーテンベルクが『42行聖書』を印刷した。しかし『42行聖書』に、ページ番号はなかった。
ほぼその五十年後、イタリアのベネティアでページ番号を付与した本がはじめて世に出される。この後書物は、ページネーションを「知の生態系」の基本単位にして成長を続けていくことになる。

ページネーションの工夫で書物には連続性が保障され、飛ばし読みや、気になる箇所の再読が容易になり、知の流通・生成に際し特定「箇所」を指し示すツールとなり、知識の普及と深化に寄与した。

この過程で書物は、「完結性(=クローズ性)」と「階層性(=構造化)」を極める500年を走り抜けた。

 

2.『42行聖書』は意味に番号を振っていた

それでは「聖書」はどうやって特定箇所を指し示し、説教、宣教、布教をなそうとしていのたか。識字率の低い環境では口承が基本で、そこでは章番号と節番号が使用された。聖書の特定の「意味」を、章番号と節番号で指し示すことで、「知」の流通と生成を実現した。

だがページに番号を振るやり方が隆盛を極め、学問の興隆に寄与する一方で、意味に番号を振るやり方は一旦歴史の後景へ姿を隠した。

3.フォクソノミー

21世紀、意味に番号を振るやり方が復活する。章番号と節番号でなく、タグを使うというアイデアではあったが。それはフォクソノミーという手法で、意味を「知の生態系」の基本単位にする道を開いた。

フォクソノミーは別名、Social Tagging、Collaborative Tagginと呼ばれる手法で、folk(民衆)とtaxonomy(分類法)からの造語。特定のキーワードが一つの情報に付与されることで、しかも複数の人による複数のキーワード(タグ)が許容されることで、一つの情報が検索を行う要素そのものになると同時に、その一つの情報に対する多様な意味づけ、複数のコンテキストからの参照を可能にする。

(関連図書:『ページと力』 鈴木一誌、『インターネットはいかに知の秩序を変えるか? 』 デビッド・ワインバーガー)

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「詩想誌」と「知識カード」 

「知識カード」と5百年前のページネーション

「知識カード」と5万年前の人類の知恵  

 

有機的で複雑系

もうひとつの知の体系化(3)

「木」のメタファがダメなのではない。
世界は中央集的で階層性もあるが、同時に有機的で複雑系なのだ。

そして「近代」の進展はそのもうひとつの側面を前景化させている。

都市に象徴されるように。
インターネットに象徴されるように。


『コミュニケーションの数学的理論―情報理論の基礎』 C.E. シャノン, W. ヴィーヴァー
『新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く』 アルバート・ラズロ・バラバシ

※これは新しい文章スタイル、またメディアの実験です。
詩想誌(100Words・Knowledge Cards)


◆もうひとつの知の体系化

(1)木のメタファ 世界認識の方法として http://society-zero.com/chienotane/archives/1032

(2)都市 http://society-zero.com/chienotane/archives/1036

(3)有機的で複雑系 http://society-zero.com/chienotane/archives/1039

(4)リゾーム http://society-zero.com/chienotane/archives/1042

(5)ハイパーテキスト http://society-zero.com/chienotane/archives/890 

 

有機的で複雑系

もうひとつの知の体系化(3)

「木」のメタファがダメなのではない。
世界は中央集権的で階層性もあるが、同時に有機的で複雑系なのだ。

そして「近代」の進展はそのもうひとつの側面を前景化させている。

都市に象徴されるように。
インターネットに象徴されるように。

 


『コミュニケーションの数学的理論―情報理論の基礎』 C.E. シャノン, W. ヴィーヴァー
『新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く』 アルバート・ラズロ・バラバシ