Tag Archives: 土屋俊

●オープンとアクセシビリティがニュースになる日

D:学習・教育のデジタル化と変容する知の体系

●オープンアクセスのパラドックス 【セミナー備忘録】(1) | ちえのたね|詩想舎 http://society-zero.com/chienotane/archives/2565
第17回 図書館総合展での土屋俊氏の講演、「学術情報流通の動向2015」から。
Elsevier社が発行する言語学のトップクラス・ジャーナル(学術専門雑誌)であるLingua誌。そこで2015年11月2日、事件が起きた。ことの発端は「オープンアクセス・ジャーナル」を巡る、出版社側と学術コミュニティ側の主導権争い。背景には高騰する電子ジャーナル価格がある。
次世代の、新しい知のエコシステムをどう構築するか。デジタル化で、パッケージとしての雑誌が相対化されていく中で、知のエコシスムをどう再生するのか。

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オープンアクセスのパラドックス 【セミナー備忘録】(5)

(5)「棄却」が支える、電子ジャーナルの「権威」創出メカニズム

オープンアクセス運動の皮肉な転換点

こともあろうに、あの商業主義、金まみれのゾンビと化したElsevier社が、「自分たちは世界最大のオープンアクセス出版者である」と主張しだした。これはOA運動のある意味皮肉な転換点となるだろう、というのが土屋氏の見立てだ。 Continue reading

 

オープンアクセスのパラドックス 【セミナー備忘録】(4)

(4)出版社による調略

ハイブリッドというトロイの木馬

ところがこの難問を梃に、むしろ商業出版社は「オープンアクセス」運動を逆手にとる戦略に打って出た。「障壁なきアクセスのうち、アクセス可能性、アクセスの対象を広げることについてはお手伝いしましょう。ただ商業出版なんですから、有償の点はご容赦くださいね」、といいながら。

掲載料(Article Processing Charge:APC)を払って論文掲載を申し出る方法でも論文を受け付けましょう。その論文を従来型モデルの論文と同居、混載させます。そりゃあ、権威あるジャーナルに載ることで学者、研究者として箔もつきますし、引用されやすくなりますからね。この新しいジャーナルはハイブリッドジャーナルと呼びましょう」。 Continue reading

 

オープンアクセスのパラドックス 【セミナー備忘録】(3)

(3)オープンアクセス運動

オープンアクセスとは

オープンアクセス(OA )構想は、2002年2月14日にブダペスト・オープンアクセス・イニシアティヴ(BOAI)において「ブダペスト宣言」として発表された。

査読済み論文に対する障壁なきアクセス」がその本質。 Continue reading

 

オープンアクセスのパラドックス 【セミナー備忘録】(2)

(2)デジタル化はオープン化の入り口(のハズだった?)

品質決定と価格決定の分離

現在の学術コミュニティを支える学術専門雑誌のルーツとされるものは、17世紀に始まったとされている。紙に刷り、物流を最適化することで、情報と知識の流通の最大化、知のエコシステム構築を図ってきた。

そもそも学問は先人の業績の上に、新発見、新知見を加えることで進んできた。ならばできるだけ多くの先人の業績にアクセスできることが、新発見、新知見の付加をより強化し、より加速させるだろう。 Continue reading

 

オープンアクセスのパラドックス 【セミナー備忘録】(1)

(1)電子ジャーナルで起きた、編集委員会の反乱

(個人用のメモです。議事録ではありません。記事中の図画は、引用元を表記していないものはプレゼン公開資料を使用しています)●学術情報流通の動向2015:オープンアクセスの先にあるもの http://www.slideshare.net/tutiya/2015-55014969

学術情報流通の動向2015 | 第17回 図書館総合展 http://www.libraryfair.jp/forum/2015/1840

■概要:オープンアクセスの先にあるもの
2015年11月11日 (水) 10:00 - 11:30
第6会場
講師:土屋 俊 大学評価・学位授与機構教授
主催:図書館総合展運営委員会

2014年から2015年にかけての一年間で、実際的オープンアクセスの状況が大きく展開した。国際的な発表論文数の優に10%以上が論文処理費用の著者支払いによって出版される時代が到来し、出版者はその方向への体制を整備しつつある。そのような時代に「購読する図書館」という存在はどうなるのか。それだけでなく学術情報流通の構造全体に変化は生じるのか。さらに学術論文へのオープンアクセスから展開して、データへのオープンアクセス、科学的、学術的営為のオープン化があさりと語られるようになった時代に、もともと秘教的な性格にそのアイデンティティを求めてきた「学問」そのものはどうなるのだろうか。これらの疑問への解答の手掛りを探してみたい。


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