Tag Archives: サブスクリプション

●本を「作る」ための工夫 「マッチング」のための工夫

PODでいまや、「一冊」からでも本を「作り/売れる」時代がやってきている。

おかげで紙版刊行にまつわる紙代、印刷代、製本代といった嵩むコストがハードルとなり、これまで没になっていた企画が陽の目を見る。しかし、「作る」ソリューションより、いま課題なのは「本と読者のマッチング」プロセスのデジタル化、デジタルトランスフォーメーションによる新流通パイプの開発だ。

AI選書
「抜き書き」の公開
ニュースと作品(書き物)との相互乗り入れ
読み放題(サブスクリプション・モデル)
アイカードブック(iCardbook) Continue reading

 

電子図書館と「読み放題」|「読み放題モデルってどうなのよ」 手元メモ その4

前回、「潜在読者の掘り起こし」と「本と読者のマッチング」を、「「所有」から「利用」へ」あるいは「readingからscreeningへ」のパラダイム転換に対応して展開するのが、「読み放題」というビジネスモデルなのだ、とした。

ここで、本の場合、所有にはコンテンツ単品・買い切り/売り切りの支払方法が、利用にはサブスクリプション(コンテンツを利用した期間に応じて料金を支払う方式)の支払方法が対応すると想定されている。

・所有権:コンテンツ単品単位ベースの取引 買い切り/売り切り
・利用権:コンテンツのマスベースの取引  サブスクリプション(コンテンツを利用した期間に応じて料金を支払う方式)

しかし第一回(その1)に書いたように、二つの異なる世界、また様々なジャンルがあるので当然のことながら、「単品・買い切り/売り切り」と「マス・サブスクリプション」の間にはバリエーションがある。

しかも価格(料金)政策はサービス利用者向け価格にだけ知恵を絞ればよいのではない。

「読み放題」サービスの事業を構築する際、プラットフォーマーにとっての最大の課題が、「書籍コンテンツの仕入れ価格体系と、サービス価格体系との組み合わせの工夫」になる。 Continue reading

 

読み放題ってそもそも何なのだろう|「読み放題モデルってどうなのよ」 手元メモ その3

1.「所有」から「利用」へ

読み放題ってそもそも何なのだろう。

他の「放題」と横並びにして気付くこと。それは「所有」から「利用」へ、という変化。

つまり「〇〇放題」は、

・まず読者の「所有」の中から「利用」だけを切り離して、サービスにしたもので、
・しかもそのサービス提供主体すらも、「所有」していない。

ネットフリックスは世界最大の映像提供会社だが、映画を所有することなく観客にそれを見せている。スポティファイは最大の音楽ストリーミング会社だが、音楽はなにも所有していないのに、どんな曲でも聴かせてくれる。アマゾンのキンドル・アンリミテッドは80万冊の本が読み放題だが、本は所有していないし、プレイステーション・ナウはゲームを購入しなくても遊べる。(『<インターネット>の次に来るもの』 第五章 Accessing )

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Baasあるいは「出版」からの解放|「読み放題モデルってどうなのよ」手元メモ その2

1.もうひとつ、注意したいこと。Baas(Books as a service)

2018年4月24日のJEPAセミナーは「 『<インターネット>の次に来るもの』から読む未来」だった。 http://www.jepa.or.jp/sem/20180424/

『<インターネット>の次に来るもの』は、「リンクとタグは過去50年で最も重要な発明」といったネットの本質についての理解を踏まえ展開されるメディア論、デジタル世界をもっとも深く理解するビジョナリーとして評価されているケヴィン・ケリー氏の最新著作。氏は「ワイヤード」の元編集長。またスティーヴン・スピルバーグ監督の映画「マイノリティリポート」では、未来世界のアドバイザーを担当した人物。

(マイノリティ・リポートの世界が現実に?独で犯罪予測システムの導入検討 https://irorio.jp/daikohkai/20141204/184075/
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注意したいこと|「読み放題モデルってどうなのよ」手元メモ その1

 

「読み放題モデルってどうなのよ」

1.注意したいこと
・出版業界にはふたつの異なる世界がある
・ジャンルの違い

2.Baasあるいは「出版」からの解放
・Baas(Books as a service)
・「出版」からの解放

3.読み放題ってそもそも何なのだろう
・「所有」から「利用」へ
・紙媒体からデジタル・データ表示媒体(デジタルメディア)へ

4.電子図書館と「読み放題」
・電子図書館は単品・買い切り/売り切り、その代わり同時アクセス1
・「読み放題」の仕入れ価格体系は企業秘密


昨年度から、「版元大集合…この先10年の出版を語ろう!茶話会」を企画、運営してきたJEPA(日本電子出版協会)のビジネス委員会が6月20日、2018年度版をスタートさせる。

今回のテーマは、「読み放題モデルってどうなのよ」。原則JEPA会員だけの会合だ。 Continue reading

 

W3C Publishing Summit APL活動報告会から 【セミナー備忘録】

(個人用のメモです。議事録ではありません。とりわけ[ ]の部分はブログ記事筆者の挿入部分です。図画等は特に断りがなければ講演者のプレゼン資料を利用しています。)

◎本ブログ記事は、下記セミナーのうち前半を扱っています。つまり、human readable だけを考えていればよかった20世紀型出版から、machine readable にも目配りした、発想の転換を迫られる21世型出版への模索について。 Continue reading

 

●デジタル化は「所有からアクセス」へビジネスモデルの変更を促す

日本と異なり、米国ではニュースに対する知的関心が高い。そこで米国では『Snapchat』内に「Discover」という独自のニュース機能を追加。またフェイスブックがウェブ上のニュースを即時に読み込めるようにと決断したのが2015年。アップルのiOSの最新版では、iPhoneでニュースを読むための独自アプリが搭載され、ツイッターは「Moments」でニュース競争へと足を踏み入れた。

一方プラットフォームにおける「あ、これこれ、自分が欲しかった情報は」という「カスタマイズ」機能。ありがたかったし、当初はそれがきちんとワークしていない、という不満もあった。不満は期待の裏返しだ。しかしいまは、それでいいのか、セランディプティも必要ではないか、それでないと、自分の知識や関心が広がって行かないのではないか。そういう懸念に、またそのことの「不幸」に、人々は気づき始めている。

そのことと、ニュースコンテンツ生成を担当するメディア側の懐疑とは裏腹の関係にある。2016年は、2015年にあった「パブリッシャーは、プラットフォームにある種の「管理権」を譲り渡すことで「利益を生み出す共生関係」へ向かう志向」に、迷いが芽生える年に。

A:<メディアとしての紙>から<デジタル化するメディア>へ

●ニュースメディアの原理/ビジネスを構想するための視座として http://mediadisruption.net/2016/01/02/bipolarizationofnewsbiz/
ニュースが価値をもたらすその根本理由:事象を知る……驚き、感動、怒り、悲しみなどの感情面の刺激に始まり、それを理解する、対処するなど、知見のひろがりと行動を喚起する価値/事象を深く理解する……事実の背景、そのもたらす影響などを客観化したり、他の事象と関係づけるなどして、世界や社会への視点を形成する価値。

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●資本主義は曲がり角に来ている とりわけ日本の

151225 MP

┃Economy あるいは資本主義のメタモルフォーゼ
成長と生産性、ビジネスモデル、経営、、国家、民主主義など

●(書評)『善と悪の経済学』 トーマス・セドラチェク〈著〉 http://digital.asahi.com/articles/DA3S11894370.html?rm=150
「経済学がどんなに自然科学に近づこうとも、それは完全に自然科学にはなれないし、またそうなるべきではない、と主張するのが本書」。資本主義は曲がり角に来ている。資本主義のメタモルフォーゼの時が近づいている。

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●ネット世界のフローメディアのSNSと、リアル世界のストックメディアの代表である書籍出版

フローメディア(新しい情報が流れていくメディア)のSNSと、ストックメディア(情報が蓄積されるメディア)の代表である書籍出版。その接続がただいま現在の最大課題。

日本では再販制度で資金繰りを取次が担保しているため「資金繰りの不安がない紙版 VS 資金繰りに不安が付きまとう電子版」の壁が存在する。このため、一義的にはこの接続は困難。だからおそらく非ISBN系(取次を通さない書籍・雑誌他の)電子書籍などデジタルコンテンツが日本の「電子書籍」の定義・内容だという風に拡張されたとき、変化の光が差してくる。あるいは「2016年から始まる、『合理的配慮』が図書館から、この状況を突き崩すか、楽しみな来年2016年です。

A:<メディアとしての紙>から<デジタル化するメディア>へ

●出版市場、どうなってるの?――スマホと競合、販売落ち込み http://bizacademy.nikkei.co.jp/culture/nikkey/article.aspx?id=MMACc3000012032015
定期刊行の雑誌売上が取次のインフラ整備投資資金の決定における、予測可能性をかつて担保していた。その雑誌が、情報を次々更新し蓄積していく上、検索もしやすいネットに追いやられた。
ところがその雑誌が地方、中小都市の本屋を支えていた。そこでは新刊本の入荷が限られるため、雑誌売り上げが全体に占める割合は高く、いわば「米びつ」だったのだ。そこで書店が凋落。すると書店が消えてゆくため、書籍と人々との出会いの機会が減った。
加えてスマホの浸透は、ネットとの常時接続で新しい時間の過ごし方を人々に提供。その波に「読書(時間)」が呑まれていった。

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米国電子出版動向 2015 【セミナー備忘録】

(1)変わる編集者像

(個人用のメモです。議事録ではありません。記事中の図画はプレゼン公開資料を使用しています)

・米国電子出版動向 2015 http://www.jepa.or.jp/sem/20150910/
・プレゼン資料 http://www.slideshare.net/JEPAslide/2015-52610643

■概要
急速に進化する米国の出版業界における「読者層のニーズを迅速に把握する手立てと新しい収益モデル」を紹介。再編ラッシュが続く米国で見聞きした多様な視点と優先順位は、日本で出版業界が直面する課題の解決に役立ちます。
(毎年、たいへんご好評をいただいている米国市場報告の2015年版です)

■講師 辻本 英二 氏 (デジタルタグボート株式会社 代表)
■内容

・Book Expo America2015 / IDPF DigitalBook2015 報告
・購買層の実像把握とその方法
・ワンソース・マルチウィンドウ(販売窓口)事例
・米国式出版社、取次、書店のサバイバル戦略
・米国で存在感を増す中国の電子出版動向
・著者が使い分けるセルフパブリッシング
・世界で最も急成長しているメディアプラットフォームとは
・出版業界のコンテンツマーケティングの役割

○100枚を超すプレゼン資料。2時間弱の、もりだくさんのご講演でした。3点、面白かった項目に絞って、メモメモ。 Continue reading