Tag Archives: ケヴィン・ケリー

●コロナ禍の中で「読書」、メディア、出版産業の危機は深まるか

 


(Rallying Around #BooksAreEssential https://www.publishersweekly.com/pw/by-topic/industry-news/publisher-news/article/83099-rallying-around-booksareessential.html

社会全般で言えることだが、コロナ前にあったトレンドをコロナ禍が加速させる、あるいはもともと問題視され課題であると認識されながら、解決に及び腰であった問題を、コロナ禍が顕在化させる、という現象が起きている。

読書、出版でも同様だ。 Continue reading

 

●本と電子書籍は別の物 ユーザーはちゃんと使い分けている

電子書籍が始まったころ、カニバリ議論が盛んだった。サイマル出版、紙と電子版を同時に、あるいは数週間程度の遅れで刊行していくことはもはや珍しくなくなった。電子版刊行で紙版の売り上げが減るというカニバリ議論は(いまでもそれを恐れている版元が皆無ではないだろうが)、遠い昔の笑い話だ。

カニバリ議論は紙版と電子版が同じものと勘違いした版元の勉強不足から。読者はちゃんと使い分けていた。読者にとって、本と電子書籍は別の物。

「紙の書籍」を選ぶシーン
順位  選ぶシーン             (
1位   家で本を読む            59.5
2位   保管・保存しておきたい本を買う   48.3
3位   何度も読み返しそうな本を買う    37.1
4位   大好きな作家、漫画家など本を読む  35.4
5位   勉強用の本を買う          32.1

「電子書籍」を選ぶシーン
順位  選ぶシーン             (
1位   電車やバスなどで本を読む      41.7
2位   家で本を読む            40.7
3位   旅行や出張などで本を読む      27.5
4位   面白いかどうかわからない本を買う  24.8
5位   暗いところで本を読む        18.8

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ケヴィン・ケリーが語る「本と読書と出版」 その6

■アフター・インターネット 「本」はどうなるのだろう

ウェブの引き起こした革命は、ハイパーテキストや人間の知識についてはほんの些細なものだった。革命の中心にあったのは、あたらしい種類の参加の形であり、それはシェアを根本原理とした新しい文化へと発展していった。(『<インターネットの次>に来るもの』 第1章 Becoming)

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ケヴィン・ケリーが語る「本と読書と出版」 その5

■そして「スクリーンの民」の時代へ

スクリーンで読むことは最初に本を変え、本による図書館を変容させ、次には映画を映像を変え、ゲームや教育に破壊的変化をもたらし、最終的にはすべてのものに影響することになる。(第四章 Screening)

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ケヴィン・ケリーが語る「本と読書と出版」 その4

■アフター・グーテンベルク 「本の民」の時代

安価で完全なコピーを作れることから、印刷された文書は変化の動力源にも安定性の基盤にもなった。(『<インターネットの次>に来るもの』 第4章 Screening)

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ケヴィン・ケリーが語る「本と読書と出版」 その3

■本は固定化されていたからこそ流動化のための工夫を発達させた、先駆的存在

マッシュアップの手法は実際のところ、文章のリテラシーからきている。
(中略)
ジョージ・ルーカスの作品『スターウォーズ』は、それまでの映画撮影術というより、本や絵画に近い手法を取り込んでいる。(『<インターネットの次>に来るもの』 第8章 Remixing )

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ケヴィン・ケリーが語る「本と読書と出版」 その2

■クローズとオープンのバランス

インターネットは世界最大のコピーマシンだ。

デジタル経済はこうした自由に流れるコピーの川の上を動いている。(『<インターネットの次>に来るもの』 第3章 Flowing )

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ケヴィン・ケリーが語る「本と読書と出版」 その1

■取次の危機

JEPA(日本電子出版協会)のビジネス委員会が6月20日「茶話会」を開催する。この先10年の出版を語りあう「茶話会」のテーマは「読み放題モデルってどうなのよ」、であった。これを受けて4回に分け、議論の準備も兼ね手元メモを書き留めたが、その中で何回か、ケヴィン・ケリーの『<インターネットの次>に来るもの(翻訳:服部 桂)』を参照した。

そこで次に、『<インターネットの次>に来るもの(翻訳:服部 桂)』の中でケヴィン・ケリーが「本・読書・出版」について語っている部分をハイライトしてみることにした。


もっと重要なことは、われわれが新しいものを古いものの枠組みで捉えようとしがちだということだ。

(その結果(筆者挿入)(中略))その先が明らかに不可能なものに見えたり、あり得ない、あるいはあまりにもばからしいと思えたりすると、それを無視してしまう。(『<インターネットの次>に来るもの』 第1章 Becoming)

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Baasあるいは「出版」からの解放|「読み放題モデルってどうなのよ」手元メモ その2

1.もうひとつ、注意したいこと。Baas(Books as a service)

2018年4月24日のJEPAセミナーは「 『<インターネット>の次に来るもの』から読む未来」だった。 http://www.jepa.or.jp/sem/20180424/

『<インターネット>の次に来るもの』は、「リンクとタグは過去50年で最も重要な発明」といったネットの本質についての理解を踏まえ展開されるメディア論、デジタル世界をもっとも深く理解するビジョナリーとして評価されているケヴィン・ケリー氏の最新著作。氏は「ワイヤード」の元編集長。またスティーヴン・スピルバーグ監督の映画「マイノリティリポート」では、未来世界のアドバイザーを担当した人物。

(マイノリティ・リポートの世界が現実に?独で犯罪予測システムの導入検討 https://irorio.jp/daikohkai/20141204/184075/
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●従来、雑誌・新聞起点だった情報収集のパスは、完全に変わってしまった。

A:<メディアとしての紙>から<デジタル化するメディア>へ

●Yahooに致命傷を与えた、プラットフォームの交代 http://jp.techcrunch.com/2016/07/26/20160725jaime-mobilster/
「コンテンツ消費のパターンも変わった。デスクトップのコンピューターで拡張的なコンテンツやニュースサイトを長時間見るのではなく、生活の中のちょっとしたダウンタイムを埋めるために、ユーザーは細切れで楽しめるモバイルエンターテイメントを求めるようになった」。
マイクロモーメント/スマホシフトへの対応が遅れたのが致命的。

「重要なポイントは、テックチームはプラットフォームの交代に対して準備することに危機感を持たなければならないということだ。会社を殺すのは、競合他社であることは少ない。変化を目前に固まってしまうことが会社の終焉を招く」。

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